スポニチ 昨日のサンデーモーニングで

司会の関口宏(75)が、「小宮山さんもメジャーで活躍してましたが、ハリさん(張本氏)はメジャー(の選手)は下手だって言っているんです」と“告げ口”すると、小宮山氏は「そうなんですか?野球の質で言えば日本の方が上だと思います。でも、能力の高さだと、とんでもないやつらがたくさんいますから。それと互角でやるのは大変なことです」と自身の経験も踏まえて持論を展開。張本氏も「体力はね…」と納得していた。
このやりとりに日米の野球の「技術」に関する考え方の違いが出ている。

日本人は西洋人よりも体が小さい。だから力では負けるが、小技を磨くことで互角の勝負ができる。
また1人の力で勝つのではなく、9人が力を合わせることで、僅差の勝負をものにすることができる。

打撃でいえば安打を狙うのではなく、四球での出塁、バント、走者を進める打撃、盗塁などで細かく塁を奪っていく。本塁打を狙うなどはもってのほか。
投手は、制球力をつけ、緩急で打者を打ち取っていく。奪三振を狙うのはよくない。
守備では、派手なプレーをするのではなく、来た球を正面で捕球し、正確に処理する。一つ一つのアウトをきっちりと取っていく。

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この考え方が、明治以来ずっと日本の野球を支配した。
だから、そういう細かな技術については、日本は高度に発達している。バントは非常にうまいし、球に逆らわない打撃も得意。走塁技術も発達している。投手の制球力も良い、また守備は堅実だ。

このあたり、すべての野球チームが備えるべき美質ではあろう。

アメリカでもその点は変わらない。しかし、アメリカではそうした「技術」の前提に、速く投げる、遠くへ飛ばす、速く走るといった「身体能力」があるのだ。身体能力の中には、一瞬のひらめきなど「感性」の部分もある。
もともとアスリートとしての能力が高くなければ、技術を身に着けてもそれを活かすことができない。
だからアメリカのアスリートは身体能力を高めるためのトレーニングを重視する。日本では、小さな技術の習得を優先する。

その結果として、NPBは一つ一つの技術ではアメリカよりも優秀だ。これはNPBに来た外国人選手の多くがそういう。
しかし、NPBの選手でMLBで通用する選手は非常に少ない。レベルの差は明らかだ。
これは、もともと持っている素材の差もあろうが、それ以上に、日本の選手が身体能力を高める練習よりも、技術を習得する練習を重要視していることが大きいだろう。

張本勲は、NPBの方がMLBよりも野球の技術が上だと常々言うが、それはMLBより強いということではない。技術は高くても、全体的な能力は及ばないのだ。

小宮山悟はそのことは重々承知していたが、張本に気を使って遠回しな言い方をした。
「でも、能力の高さだと、とんでもないやつらがたくさんいますから」
今後は、日本の野球界も「技術」ではなく「能力」を伸ばす教育をしなければならないのだ。

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