まもなく終戦記念日だが、昨日の女子ソフトボール世界選手権は、日本という国が終戦後70年以上たっても、少しも賢くなっていないことを露呈した。熱戦だったが惨敗だった。
日本の今大会の戦績
予選リーグのスコアを見てもわかる通り、日本は他のほとんどの国と明らかな実力差がある。
過酷な日程だが、日本は楽勝で勝ち抜いた。ライバルといえるのはカナダとアメリカだけだった。
予選リーグでは日本は上野由岐子(36=ビックカメラ高崎)勝股美咲(18=ビックカメラ高崎)浜村ゆかり(23=ビックカメラ高崎)藤田倭(27=太陽誘電)と4人の投手を投げさせた。
エース上野は4勝、防御率0.00という好調ぶりだった。
決勝トーナメント、プエルトリコ戦、上野は5回を零封。8月11日のアメリカ戦、日本は藤田を立てて4-3でサヨナラ負け。
8月12日、敗者復活に回って日本はカナダと再選した。日本はこれに勝てば同日夜にアメリカと決勝戦を戦うことになる。
宇津木麗華監督は、このダブルヘッダーを上野由紀子に託した。
当日のスコア
第1試合、上野はカナダを完封。ほぼ完璧な勝利だった。しかし3時間半後に始まったアメリカとの決勝戦、上野の投球は明らかに昼の試合よりは見劣りした。
球速は115km/h前後出ていた。これはトップクラスだが、制球が定まらず四球を出した。ソフトボールのエース級がこういう投球をするのは珍しい。
日本はアメリカの繰り出す投手陣を攻略したが、その都度上野が追い付かれ、タイブレーク制の延長戦になる。延長10回裏、6-4と2点リードしながら3点を奪われ、サヨナラ負けした。
酷な言い方をするが、敗因の第一は上野の投球である。強力なアメリカ打線を抑える力はなかった。
しかし、宇津木麗華監督は上野と心中する気で彼女を使い、事実心中してしまったのだ。上野の投球数は249球に及んだ。
ソフトボールは野球とは違うのかもしれない。エースたるもの連投や多くの球数を投げることくらいでめげてはいけないのかもしれない。
しかしアメリカはそんな投手起用はしなかった。2008年から上野のライバルだったアボット、バーンツ、リケッツ、ガルシアという4人の投手をリエントリーと言う制度をうまく使って起用し、一人の投手に負担が集中しないようにして勝ち抜いた。
最高気温35度超の昼の試合に完投させた投手を夜も先発させた日本と、夜の1試合のために3人の投手を使ったアメリカ。その物量の差は明らかだった。
73年前、日本は特攻隊と竹やりで大戦力のアメリカに勝とうとした。「大和魂」があれば、アメリカ何するものぞ、と狂気のような執念を燃やして。しかしアメリカは日本軍を玉砕させて占領したサイパンの飛行場の横に、兵士の休息のためにアイスクリーム工場を建設するなど、兵士の消耗を極力避けながら日本をじりじりと追い詰めた。
昨日のソフトボールの試合を見る限り、日本はあれから何も進歩していないように思える。根性で勝てると本当に思っているように思える。
宇津木妙子前監督は上野由紀子についてこういった。
16年の故障から、ようやく本来の球威を取り戻してきた。決勝前まで無失点という結果が、それを証明していたと思う。しかし、最後の米国戦は相手から研究されていることを意識し過ぎたのか、思い切りが足りない印象だった。丁寧に投げようとしてボールが先行し、結果的に球数も増えたのはもったいない。もっと自分の投球に自信を持っていいのではないか。
上野以外の若い投手がこの経験を糧に、この日のような2試合を任せられるように成長することを期待したい。
1日200球以上も投げて、思い切りもくそもないだろう。
宇津木妙子、麗華親子にソフトボールを委ねている限り、日本のソフトボールはこれ以上進化しないだろう。
いつまでこんなあほな試合をやる気だろうか?
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大会を通じて試合を楽しませていただきましたがスコアだけで判断できないものだなぁと思いました
日本は強豪に上野を当て、中堅にもヤバイ展開になれば上野を投入し勢いを摘んでいました。
上野が無双することにより相手に絶望を与え点が入ればそのまま勢いでという形だったので日米2強状態というのは上野無双によるものだったんだなぁと思いました。
おそらく上野が引退する2020年以降、女子ソフトボールの日米2強状態は崩れるかもしれません。(もともと2強状態が始まったのは上野が台頭してからと言っていい)
女子ソフトボール全体にとっては良いことかもしれないなぁと思いましたが、日本ソフトボール界は後進育成が急務ですね