もう一昨日になったが、13日に行われたワークショップでの私の話。ここから結論の部分である。

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私は自分の会社や他社の事業計画の策定にかかわったが、社員や外部スタッフが計画書を持ってきたときに、優秀な経営者が提案を突き返すときによく口にしたのが
「この計画は“やることが目的になっている”。だからだめだ」という言葉だった。
目的や理念、期日、達成目標などが不明確で「あれをやる」「これをやる」とだけ列記してある計画書は、経営者には、到底受け入れることができない。
たとえるならば、目的地も決めずに駆け出していくようなものであり、成功は到底おぼつかないのだ。

もう一度200年計画を見てみよう。

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まさに「あれをやる」「これをやる」のオンパレードだ。「やることが目的」になっている。

「それでもやらないより、やったほうがましじゃないのか」これもよく聞かれる声だが、無責任だろう。今、求められているのは「やらないよりまし」な政策ではなく「やるべき」政策だ。

理念も目標もなく、この計画が実行されればどうなるか?
子ども向けティーボール教室では、子どもたちを前に、高校野球指導者の大人たちが
「気を付け、礼!」と出会い頭に号令をかけるかもしれない。
空振りをする子供に
「もっと脇を閉めろ!」「スタンスがおかしい」というかもしれない。グランドを走らせる指導者もいるかもしれない。
さらに、ティーボール用品の分野にメーカーが参入し、より飛ぶバットなどを開発するかもしれない。

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本来、野球、野球型スポーツを「好きになってもらう」のが目的のこうした普及活動の本当の意図を理解させずに「やれ!」とだけ言えば、高校野球指導者はこれまでと同じような野球選手を作ろうとするだろう。同じように子供に命令し、子どもを従わせようとするだろう。

しかし、今、求められているのは、これまでの野球のあり方を反省し、違うアプローチで普及活動を行うことだ。

今、行われている高校野球は、いろいろな部分で時代にそぐわなくなっている。だから、多くの子供が野球をやらなくなっている。その前提に立てば「やること」だけを羅列した200年計画は、不十分なだけでなく、今後の野球普及にマイナスに働く可能性もある。

そもそもこの200年計画は、目的も期日もないから、実効性はないと思っている。新聞社が来ているときにちょっとやって見せて、新聞記事にして「はい、おしまい」ではないかと思う。そのほうが実害が少なくてよいだろう。

高校野球の運営者は選手上がりか、教員上がりか、新聞記者上がりである。失礼な言い方をすれば「この世の中が、どんな風に回っているのか。みんなどういう風にお金儲けをしているのか」知らないままに来た人たちである。PL表もBSも読めない人たちだ。だからこんな「200年構想」ができてしまったのだと思う。

Jリーグの「百年構想」が、古川電工系企業の取締役まで務めた川渕三郎さんをはじめ、ビジネス経験豊かなサッカー界幹部と、広瀬一郎さんなどスポーツマネジメントを知る優秀な外部スタッフの手で生まれたのとは、まさに対照的だ。

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