では、これからの野球界はどうすればよいのか。どんな事業計画を立てるべきなのか。

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事業計画を立てる際には、理念や目標を設定しなければならない。そのためには、マーケティング的な整理をしなければならない。
マーケティングとは「売るためのすべての努力」だが、たとえビジネスでなくても「目標達成のためのすべての努力」をするために、きとんと決めごとをしなければならないのだ。コンセプト=概念をしっかり踏み固めないといけないのだ。
いろんな考え方があるが、一番シンプルなレベルで言えば

クライアント
ターゲット(マーケット)
目標、目的
期日、予算


くらいは決めないと、計画を立てることはできない。
「こんなもの、いちいち決めなくても、最初から分かっているじゃないか」という人もいるかもしれないが、そういう人の計画は往々にしてうまくいかないのだ。
もちろん、こうした条件はすべて世間に発表するものではない。
そういう考え方に基づいて、もっと抽象的で、印象的なフレーズが「構想」として発信される。

たとえば「Jリーグ百年構想」のコアの部分である

あなたの町に、緑の芝生におおわれた広場やスポーツ施設をつくること。
サッカーに限らず、あなたがやりたい競技を楽しめるスポーツクラブをつくること。
「観る」「する」「参加する」。スポーツを通して世代を超えた触れ合いの場を広げること。


からは、どんなコンセプトが見えてくるだろうか?

クライアント 日本全国の人々 サッカーファン、競技者だけでなく
ターゲット(マーケット) 日本全国 あなたの町
目標、目的 スポーツを生涯を通して楽しめる施設、機会を創設する
期日、予算 100年かけて(予算は不明)

サッカーファンだけでなく、すべての日本人をクライアントと設定することで、語り掛ける相手は一気に広がる。「百年構想」は、すべての日本人にかかわりのある構想になるのだ。
端的に言えば「基本的人権」の「健康で文化的な生活」を送るための手段としての「スポーツ」の普及を目指すと読み取ることができる。
もちろん、実際には「サッカーを大きなスポーツビジネスに育てる」というコアな目的があるのは間違いないが、そういう目的を「国民みんなの幸福」という大目標へと昇華させたのだ。その意味では「サッカーに限らず」という言葉が非常に大きい。

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百年構想は、生まれて22年になるが、今も脈々と生きている。Jリーグがエクスパンションを続けているのも、女子サッカーを普及させたのも、青少年の育成システムを充実させたのも、みんなその文脈から読み取ることができる。

高校野球の200年構想には、コンセプトを感じることができない。前述のように「やること」をたくさん羅列しているが、クライアントもターゲットも、目標、目的もかっちりと決まっているとは到底思えない。

そういう物事の進め方、考え方を知らないのだとしか思えない。

ワークショップの席上でいろいろな意見が出たが「ライセンス」というのは、いい考えかもしれない。指導者にライセンスを取らせるときに、野球の理念を理解させることができれば、ぶれることはないと思う。

会場にはある市で中学校の野球競技人口の減少に危機感を抱き、普及活動をしている先生が2人来ていたが、事業を行う前にコンセプトをしっかり固めることをお勧めしたい。

一昨年の東大での「野球科学研究会」で、スポーツドクターの馬見塚尚孝先生が、野球少年の健康被害に言及した際に、「理念がないのが最大の問題」だと指摘した。今、野球界に起こっているあらゆる問題は「理念不在」に起因しているのではないかと思う。

私は結論として

野球界の「事業計画書」をみんなで作ろう! 

を提案した。当サイトの読者各位とも、今後考えていきたい。


1965年鵜狩道旺、全登板成績【6年ぶり2度目の2ケタ勝利】

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