豊浦彰太郎さんが
どんどん狭く深くなりつつあるプロ野球ファン
というブログを書いた。このあいだ福浦の2000本安打に疑問を呈する記事を書いて偏狭なファンから攻撃されていた。
お気の毒なことだと思った。

豊浦さんはブログで

最近感じることとして、野球ファンの志向がどんどん狭く深くなっていることがある。今回の福浦選手の2000本安打にしても、ロッテワールドの中だけの話と捉えれば、感動物語そのものだ。(中略)そこには何の矛盾もない。しかし、冒頭挙げたようなマクロ的視点から冷静に評価するとどうなのだろう。

と疑問を呈しておられる。同感だ。
最近の野球ファンの中には「そのチームだけ」「その選手だけ」にしか関心がなくて、その対象を必死になって応援する人が多い。チームの動向やその選手の行動には逐一関心を払うが、野球界全体のことや、他の球団、他の選手にはほとんど関心がない。

昔は「野球好き」という大きな薄い円の中に、同心円状に好きなチーム、好きな選手が存在したという感じだが、今のファンの多くは「好きなチーム」「選手」のことにしか関心がない。
だから、へろへろになっているのに2000本安打を「打たせてもらった」福浦のことを問題にされると「福浦のことを悪く言うと許さないぞ」という非難がおこるのだ。

これ、自分の子のことしか眼中にないモンスターペアレントとよく似ている。学校全体のことや、クラス、他の子供のことなんかどうだっていい、うちの子だけ優遇してほしい。そういう親の心理とそっくりだ。

こういうモンペ的なファンが、昨今のくだらない「引退試合」や「2000本安打騒動」の背景にある。
もちろん、こうしたファンは自発的にそうなったわけではない。球団やメディアがそういうファンを煽り立てた結果として、リテラシーの低い層がだんだんモンスター化したわけだ。

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実は、今のプロスポーツやエンタメ系はみんなそういうファンで成り立っている。そういうファンが何度も応援に訪れ、金を使うから興行が成り立っている。AKB48の総選挙である女の子が「私たちのことなんて誰も知らない」と嘆いたのは、今の「人気」がコアなファン層によって成り立っていることを端的に表している。

またその手のファンは「自分が特定の対象を必死になって応援している」という行為そのものに価値があると思っている。スタジアムや劇場で声援を送っているメンタルには「自己陶酔」の要素が多分に含まれている。私などは、なかなか恥ずかしい。

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今のマーケティング手法からして、こういう傾向は今後もさらに加速するだろう。
だとすれば、プロ野球観客動員が今後も伸び続けたとしても、「野球離れ」を食い止めることにはほとんど役立たないことになる。
なぜって、今、球場に来ているファンの多く、ユニフォームを着てスタジアムでお遊戯をしているファンの大部分は、そのチーム、ある選手は好きでも、野球そのものはどうでもいいのだから。
これはファンの劣化ととらえていいだろう。

「別に選手に夢中になってもいいじゃないか」「どんな応援をしても勝ってだろ」と反論するかもしれない。それはその通りだ。
しかし学校で「うちの子だけ優遇しろ」というモンペの意見が通らないのと同様に、そういうファンの意向は、野球界全体を考える際の「公論」にはならない。
そのことは最低限、認識すべきだ。

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こうしたマーケティングにも限界がある。ファンを甘やかすにも限度というものがある。
すでにその動きはあるが、NPB各球団は「野球好き」を作るという次の一手を考えていかねばならない。


20失点以上記録チーム

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