昨日の退職騒動は、貴乃花親方側からみれば「憤死」だろう。協会に改革を訴え続けた挙句、守旧派権力によって抹殺されたということになる。

大相撲では関取以上の力士と親方が一度相撲界を離れれば、二度と帰参がかなわないという不文律がある。例外は、春秋園事件など分派活動で出た力士を別にすれば、幕内まで上がって不行跡で部屋を破門になり、父親が嘆願書を残して自殺をして帰参が認められた元大関清水川くらいだ。
貴乃花は協会を離れれば、二度と相撲界には戻れなくなる。

貴乃花のように、引退後も現役時代のしこ名のままで終身親方になれる「一代年寄」は、過去4人いる。
大鵬親方、北の湖親方、千代の富士親方(一代年寄を返上し九重になる)、貴乃花親方の4人だ。すでに貴乃花を除く3人は鬼籍に入った。
いずれも優勝20回以上した不世出の大横綱だ。スポーツ界の常として、引退後も現役時代の実績が大きくモノをいう相撲界だが、この4人の中で協会トップの理事長まで上り詰めたのは北の湖だけだ。
残る3人は「保守本流」の出羽海一門ではなかったことが大きいが、それに加え、3人ともに世渡りがうまかったとは言えない。

貴乃花の相撲界への危機感は、当然だと思う。モンゴル勢が土俵の上位を占める中で、部屋を超えた「モンゴル閥」が生まれ、様々な不明瞭なものごとが行われている。星のやり取りや金銭授受などのうわさが絶えない。相撲界には「八百長公認派」と「ガチンコ派」が存在することが、公然の秘密となっていた。貴乃花は後者の代表格だ。親方衆はモンゴル勢の跳梁跋扈を止めることができない。こうした状況で日馬富士の貴ノ岩殴打事件が発生した。
貴乃花の怒りと、体制改革の訴えは極めて真っ当なものだった。しかし貴乃花は一人で先鋭化し、周りを巻き込むのではなく単独で協会側に匕首を突き付けるような行動をとったために、恐怖を感じた親方衆が数の力で貴乃花を締め出したのだ。

残った親方衆に自分たちで協会を改革する能力や気概のある人はいないと思う。大相撲は土俵はどんどん面白くなくなっているが、人気に支えられ業績的には好調だ。しかし、また深刻な不祥事に見舞われる可能性は大きいだろう。その時にはなすすべもないはずだ。
下の2012年九州場所の写真のように、本場所に閑古鳥が啼くはずだ。

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その時に貴乃花が平年寄ででも在籍していれば、救国戦線内閣のトップになる可能性はあっただろうが、その可能性も失われた。
この人は、意見の相違があっても大筋で合意する「最大公約数」的な考えができず、すべての考えが一致した「最小公倍数」しか同志にしなかった。そのうえ改革の意志は強かったが、その根源にはスポーツマンシップではなく「神道」に近いオカルトまがいの考えがあったようだ。

独立して新たな相撲団体を立ち上げるという話があったが、大相撲は力士だけでは成り立たない。伝統文化を引き継いだ様々な裏方が必要になる。相撲興行を日本相撲協会以外で立ち上げることは不可能だろう。
レスリングのようにすべてを取り払って純粋の格闘技にしてはどうか、という声もあるだろうが、その末路は「天竜一派」ですでに証明済みだ。
大男が相撲を取るだけなら、1万円以上も払ってお客が来ることはあり得ない。プロレスなど他の格闘技と同列に語ることはできない。

小心者で愚かな親方衆だけが残った日本相撲協会は、早晩、不祥事などで内部から崩壊するだろう。悩ましい話だ。

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20失点以上記録チーム

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