Number Kaga


Number Webで加賀繁の「引退試合」について取り上げた。編集者は私の書いたものの表現をちょっとマイルドにしたが、「正論ですから」と掲載してくれた。しかし評判は悪かった。

「潔癖症だ」「野球の楽しみ方を知らない」「腹が立つ」などSNSでずいぶん言われた。
率直に言って、時代の移ろいを感じずにはいられなかった。
野球はスポーツであり、競技だ。公明正大であることが一番大事なことは子どもでもわかる大前提だと思うのだが、それよりも「感動できること」「楽しいこと」が優先するというファンが多数派になっているのだ。申し訳ないが「ファンの劣化」を感じずにはいられない。

こういう状況だから、「マーケティングの徒」である球団は、競技としての厳密さを犠牲にしてでも、浮ついたイベントをやるのだろう。

こういう状況がさらにエスカレートしたら、競技の内容も「ファンが望む方向」になるように手心が加えられる可能性もあるだろう。いわば「野球のプロレス化」が進行する恐れがある。

昨日はすでに引退を表明した岩瀬仁紀と荒木雅博が阪神戦に出場した。荒木は6回に代打で出場し、二塁打、貴重な勝ち越しのホームベースを踏んだ。さらに1安打した。岩瀬は9回に1点差でクローザーとして登板し、1死球を与えたものの3人を退け、407セーブ目をマークした。

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この内容を見る限り、2人は「引退試合」ではなく、真剣勝負をした。阪神も悠長な「送別の儀式」をしている余裕はない。引退選手に対する惜別の情はグランドの外に置いて、両社は必死の試合をしたのだろう。

こういうことが可能なのなら「引退表明」しても、公式戦に出るのは「ありだ」という意見もあるかもしれない。

しかし、私は真逆の立場だ。まだ戦力として戦う意思があって、そのパフォーマンスもできるのなら、引退表明はするべきではないと思う。どういう結果になっても「疑念」は残るのだから。100%戦力という選手だけが試合に出るべきだ。
公式戦が終了してから引退を発表しても何らおかしくないと思う。

Number Webではカットされたが、この異常さは相撲に例えればわかる。
引退宣言した力士が、本場所の土俵に上がって相手力士と相撲を取る。相手が負ければ「八百長」の嫌疑がかかるだろう。また引退表明した力士を破っても、相手力士には「情がない」などのクレームが来る可能性がある。いずれにしてもこういう勝負はあり得ない。だから大相撲では「引退宣言した力士は二度と土俵に上がれない」という内規を設けているのだ。

もちろん「引退」と「戦力外」は切り分けるべきだ。10月1日にはNPBから戦力外選手の発表がある。「クビ」になる選手をシーズン中に発表するのは、その選手の今後の身の振り方を考えるうえでも意味がある。もちろん「戦力外」になった選手が公式戦に出ることはない。

Number Webにも書いたが、大相撲と同様、NPBは引退宣言をした選手は、以後、公式戦の出場ができないようにすべきだ。そうしたとしても、引退セレモニーをする上での支障は全くないはずだ。

「けじめ」よりも「感動」、「公式記録」よりも「興行」という今の風潮がこれ以上広がらないことを切に願う。


20失点以上記録チーム

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