週刊文春
「菅野自身は中4日でも投げるつもりでしたが、今季は終盤戦からCSにかけて酷使が続いていた。菅野はコンディションを理由に11月の日米野球を辞退しており、そこには原さんの意向もあると言われている。来季も大黒柱として期待されているので、由伸は原さんに忖度したのでは。中間管理職のつらさを感じました」(スポーツ紙デスク)
この記事にも書かれている通り、菅野は今季、初めて200イニングを投げ、NPBで唯一3000球以上投げている。
この上なお、中4日で投げることは、投手生命に大きな影響を及ぼしかねない。
髙橋前監督が「甥御さんを元気な状態でお返しする」と思ったのかどうかは知らないが、この判断は適切だったと言えるだろう。

IMG_3311


この問題は悩ましい。1979年、近鉄は初めて優勝し、日本シリーズに進出したが、西本幸雄監督が、エースの鈴木啓示に救援での登板を依頼したところ、鈴木はこれを断り
「ここで無理をして、この後投げられへんようになったら、誰か責任取ってくれるのか」と言ったという。
西本は近鉄がずっと弱かったのは選手がこういう意識だったからだと言った。

しかし、投手に過酷な負担を強いるのは、その後の選手生命に深刻な影響を与えかねないのは事実だ。
記憶に新しいところでは、昨年日本シリーズ第6戦で3イニングを投げるなど奮闘したソフトバンクのサファテは、今年早々に投げられなくなった。彼にしてみれば「責任取ってくれるのか?」と言いたいところだろう。
一方で、野球はチームプレーである。選手は自分のためだけではなくチームのためにプレーしている。であれば、意気に感じて多少無理をするという選択をしても良いということもできる。

こうした判断は高校野球とプロ野球では明確に違うものになるだろう。高校野球は、野球選手のキャリアにとって「途中」であり。「成長途上」だ。だから勝利のために無理をして体に深刻な影響が残ることは絶対に避けなければならない。

IMG_8263


しかしNPBやMLBは、ほとんどの選手にとって「上がり」であり、ここで活躍するために小さいころから研鑽を積んできた。その晴れの舞台で「将来のことを考えて自重する」のか「リスクを冒しても奮闘する」のかは、選手本人の判断にゆだねられるだろう。
もちろん、これは年齢、キャリアや「無理の状態」によっても変わる。まだ先がある若手選手が大きなリスクを冒すのはよくない。指揮官やコーチなども適切な判断をすべきだろう。しかしベテランの域に達し、自分の仕事の集大成として歴史に名を残したいという選手が、最終的に「やる」という判断をすれば、それは尊重すべきではないか。
MLBは投手の球数には厳格だが、ポストシーズンではしばしば先発投手が救援にまわったり、ローテを無視して投げたりすることもある。その背景には指揮官と投手本人の「オトナの判断」があるのだと思う。

もちろん、プロとは言っても2016年の藤浪晋太郎のように懲罰的に160球以上も投げさされるような蛮行はあってはならない。また菅野も今回、投げなくて良かったとは思う。
しかし、ケースバイケースの前提でいえば、大一番では例外的に「自己犠牲」による登板もあり得るのだと思う。


手塚耀朗、全本塁打一覧|本塁打大全

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!