今年の広島が、なぜあれだけ盗塁にこだわったのかよくわからない。
最近の野球トップリーグでは、盗塁は「限定的なオプション」になっている。
俊足で走塁技術も高い走者が、得点機を拡げるために使う。
そうでない走者の場合は、日本ではバントで1死と交換で一つの塁を得るのが一般的。また「走者を進めるバッティングもある。あるいは投機的ではあるがエンドランも選択肢になる。

なぜ「限定的」か、と言えば、失敗した時のダメージが大きいからだ。バントの失敗は1死ですむ。併殺になれば仕方がないが、普通は走者は活きる。
しかし盗塁を失敗すれば1死を積み増すうえに走者さえなくなる。得点機は瞬時に消えてしまうのだ。

セイバー系のこのような考え方が普及して、NPBでも盗塁数は減った。しかし、今日本シリーズでの広島は、失敗しても失敗しても走り続けた。

ここ5年の日本シリーズでのセパ代表チームの盗塁成績

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端的に言えば「盗塁収支」で、上回ったチームが優勝している(2016年はタイだが)。

広島は2016年の日本ハムとのシリーズで6盗塁した記憶が残っていたのかもしれないが、今シリーズでは8つもの盗塁を仕掛け、全部失敗した。
ソフトバンクは過去5年で4回日本シリーズに出ているが、盗塁阻止率は83%(18企図、3盗塁15盗塁刺)。今年だけでなく、捕手の守りは極めて固いのだ。

このことが頭にあれば、あそこまで無謀な走りをして打率.143の甲斐拓也にMVPをとらせることはなかったのに、と思う。

特に田中広輔は、レギュラーシーズン111盗塁だが55回もアウトになっている。3回に2回しか成功していないのだ。今回もシリーズタイの3盗塁死を記録したが、この選手は「自重」と言う言葉を知るべきだろう。

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今回の日本シリーズで分かったのは、広島というチームがMLB流の野球の考え方や近代野球の戦術、作戦とは別個の野球をしているということだ。
いくらアウトになってもどんどん塁を奪おうと走る戦法は、戦前の「玉砕」を想起させて不気味だった。


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