トライアウトは年々盛況になっている。昨日の筑後は、3000しか客席がなかったがついに札止めになった。

トライアウトは何のためにするのか?という議論がある。
戦力外の選手のうち力がある選手は、通告前後に他球団から声がかかっている。トライアウトまで再仕官先が決まらない選手は「箸にも棒にも掛からぬ」のだと。
事実、50人ほどが参加するが、毎年、NPBに戻ることができるのは2~3人程度だ。そのためもあって、かつては東西で2回行われていたトライアウトは2015年から1回になったし、参加者も徐々に減っている。単なるセレモニーではないのか、ということだ。

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しかし人気は年々高まっている。例のTBS「戦力外通告」の人気もあるだろう。昨日はTBSのパスをぶら下げ、小型ビデオカメラを持ったスタッフがたくさんいた。選手の家族を追いかけているのだ。

ただ、私は「トライアウト」は、いろいろな意味で存在意義が高まっていると思う。

もちろん「選手の市場」としての意義が第一に来るが、他球団移籍の可能性は極めて低い。
二つ目に、イベントとしての意義だ。多くの選手にとって、トライアウトは「プロ野球選手だったことの最後の証」になっている。家族を呼び寄せ、プロ選手としての雄姿を心と目に焼き付けさせる。昔の選手は黙って消えていったものだ。SNS普及の影響か、最近は「自分の生きざま」を人にひけらかさずにはおれない人が多くなってきた。私は好きではないが、トライアウトでそれをすることに、実害はない。公式戦で引退試合をするのとは違う。それで気が済むならいいのではないかと思う。
三つ目に、トライアウトの会場には12球団関係者だけでなく、独立リーグやメジャー、マイナーリーグ関係者、社会人野球関係者、さらには野球選手を「人材」とみる一般企業の担当者もたくさん来ていた。私は主としてその取材で福岡へ行ったのだが、ここへきてプロ選手の「セカンドキャリア」は急速に広がりつつある。これはかなりの驚きだった。

元野球選手といえば、野球指導者、球団職員、焼き肉屋、飲み屋くらいしかなかった時代から考えれば、隔世の感がある。

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昨日、西岡剛は「一番難しいことに挑戦しようとトライアウトを受けた」と言っていた。「行き場がなくて仕方なく」とは彼の性格からして絶対に言えなかっただろうが、意外に明るい未来が、11月のスタジアムから広がっているのを実感した。

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