日経
熊本県警は19日、熊本市西区の県立熊本西高校グラウンドで18日、硬式野球部の練習試合に打者として出ていた2年の篠田大志さん(16)が頭部に死球を受け、19日に外傷性くも膜下出血で死亡したと明らかにした。学校によると、着用していた樹脂製ヘルメットの縁にへこみがあり、ヘルメットに球が接触した後、頭に当たった可能性もある。県警は経緯を調べる。
この事件が深刻なのは、選手や指導者、プレーの環境や道具などに目立った問題や瑕疵がなく、ごく通常の「試合」をしているなかで、選手が死亡したということだ。

20世紀前半には、野球のプレー中の死亡事故がしばしば起こった。1920年にはインディアンスのレイ・チャプマンがヤンキースのカール・メイズの投球を左側頭部に受けて昏倒し、死亡した。この事故を契機としてMLBではヘルメットの着用が進んだ。
1939年には函館オーシャンの久慈次郎が、打席で二塁送球しようとした捕手の送球を右側頭部に受けて昏倒し、死亡した。

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その後も、マイナーやアマチュア野球も含めれば、死亡事故は絶対数は少ないながらなくならなかった。

その根源的な要因は、端的に言えば「硬球」と「バット」にある。石のように固いボールを、金属や木製のバットで打つという競技の根本が「危険なもの」なのだ。この点、サッカーやテニス、バレーボールなどの球技とは大きく異なっていると言えよう。

今回の事故はヘルメットが覆っていない側頭部、耳の横当りに速球が当たったものと思われる。今、NPBでは柳田悠岐のように耳の下まで深く隠れたヘルメットを使う選手が増えた。厳しい内角攻めの中で、踏み込んで打つためにはこうした防具が必要になっているのだ。

今回の事故を受けて、高校野球でも同様のヘルメットの着用が義務付けられるようになるかもしれない。

しかしそれでも、死の危険が根絶されることはない。側頭部だけでなく顔面にボールが当たることもあるし、久慈のように捕手からの送球が後頭部に当たることもある。外野手のレーザービームが走者や野手を直撃することもある。リスクは常に存在している。それが野球だと言っても良い。

高校野球では、むしろリスクは高まっている。高校野球の格差の拡大によって、ろくに練習もしないままに試合に出るような連合チームと大阪桐蔭のような学校が、地方大会で対戦するケースが増えている。審判などから危険だという声も上がっている。

改革と名の付くものは、何一つできない高野連ではあるが、この格差を考えれば、高校野球部のレベルによる選別や、軟式野球への転向なども考えても良いと思う。

熊本西高校は「21世紀枠」に上げられた有力校のようだが、危険防止の措置が不十分だったなどの事実が出てこない限り、この事故で出場辞退をする必要はないだろうと思う。

ただメディアは「亡くなった生徒の分も頑張る」とか「一緒に甲子園に来ている」だとか、歯の浮くようなくだらない感情移入はしないほうがいいと思う。そうした「お涙頂戴」は、事態の解決には何の役にも立たないからだ。

野球は生命のリスクを伴うスポーツであり、その現実に真摯に向き合って、常々万全の準備をする必要がある。そのことを再確認すべきだろう。

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