案の定、WBCを巡る日米の交渉は難航しているようだ。日本としては、二大会連続の優勝者であり、大会を最も盛り上げた功労者なのだから、応分の利益分配に預かりたいと考えている。WBCの収益の66%はMLBとMLB選手会の懐に入り、日本側には13%しか入らないというのだ。収益の多くは日本側が獲得した企業のスポンサードなのだが、これも主催者側に入ってしまう。しかしMLB側は一向に耳を貸そうとはしない。

一昨日の朝日新聞では、選手会の松原徹事務局長は、日本代表のスポンサー収入を日本のものにしてほしいと主張していた。対するWBC運営会社のポール・アーチ―副社長は、野球はサッカーなどの世界的スポーツとは異なり、参加費も払えないような国が数多くある。こうした国にも参加を促すために、WBCは各国の参加費用や経費をすべて負担している。また、赤字になった場合は主催者側が負担することになっている。主催者はそうしたフォローやリスクのコストを負担している。さらにその収益は大会運営費用や、オーストラリア、中国などの野球の普及のために使っている、と主張した。ただし、収支の詳細については明らかにしなかった。
日本の印象が悪いのは、優勝して人気が出たあとになって利益配分を変更するよう求めている点だ。立ち上げや運営のリスクを負わずに便乗して、あとから権利を主張しているというイメージがある。
重要なことは、この交渉が純粋にビジネスの領域に属する話だということだ。人気が極東エリアに偏ったとはいえ、2回のイベントが成功裡に終わった功績は、主催者側にある。主催者のマネージメントがうまくいったからこそ、こうした成功が得られたのだ。NPB側は大会を盛り上げるに際して大いに功績があったことは衆目の知るところだが、あくまで主催者に協力しただけであり、主従の関係は変わらない。
日本は競技者としての実績と、ビジネスの問題を混同しているように思われる。金儲けの話をしている時に「一番頑張ったのはうちだから」と、別次元の話をしにいっている。
応分の利益配分を求めるのなら、日本側は共同主催者として運営に参画するとともに、より成功に導く方法なり、収益をあげる方策なりを提案する必要がある。それなくして、ただただ権利を主張するだけでは、相手も「うん」とは言わないだろう。
残念なことに、NPBは、こうした国際イベントについては素人同然である。NPBは、自分たちの肝いりではじめた日韓台中のアジアシリーズでさえ、うまく仕切る事が出来ずに、途中で投げ出したくらいだ。ビジネス経験のない退役した高級官僚がお飾りに収まっているNPBに、金儲けは無理なのだ。そのレベルでは、スポーツビジネスのプロ中のプロが集まっているMLB側に相手にされないのは、仕方のないところだ。
MLBはこうしたNPBの事情をよく知った上で、足元を見ている。また、NPBと選手会は一枚岩ではなく、選手会としては本気で辞退したがっているのに対し、NPB側は、開催したい意向でいる。そのことも把握しているはずだ。今後は、個別の切り崩しも考えるのではないか。
WBCに日本が出なければ、主催者側は困るに違いないとNPB側は思っているようだが、中国やオーストラリアなどの重要性が高まっている中で、MLBは市場開拓のためにも、3回目のWBCを開催するだろう。現MLBコミッショナーのバド・セリグは、そのために退任時期を延ばしたくらいなのだから。



一昨日の朝日新聞では、選手会の松原徹事務局長は、日本代表のスポンサー収入を日本のものにしてほしいと主張していた。対するWBC運営会社のポール・アーチ―副社長は、野球はサッカーなどの世界的スポーツとは異なり、参加費も払えないような国が数多くある。こうした国にも参加を促すために、WBCは各国の参加費用や経費をすべて負担している。また、赤字になった場合は主催者側が負担することになっている。主催者はそうしたフォローやリスクのコストを負担している。さらにその収益は大会運営費用や、オーストラリア、中国などの野球の普及のために使っている、と主張した。ただし、収支の詳細については明らかにしなかった。
日本の印象が悪いのは、優勝して人気が出たあとになって利益配分を変更するよう求めている点だ。立ち上げや運営のリスクを負わずに便乗して、あとから権利を主張しているというイメージがある。
重要なことは、この交渉が純粋にビジネスの領域に属する話だということだ。人気が極東エリアに偏ったとはいえ、2回のイベントが成功裡に終わった功績は、主催者側にある。主催者のマネージメントがうまくいったからこそ、こうした成功が得られたのだ。NPB側は大会を盛り上げるに際して大いに功績があったことは衆目の知るところだが、あくまで主催者に協力しただけであり、主従の関係は変わらない。
日本は競技者としての実績と、ビジネスの問題を混同しているように思われる。金儲けの話をしている時に「一番頑張ったのはうちだから」と、別次元の話をしにいっている。
応分の利益配分を求めるのなら、日本側は共同主催者として運営に参画するとともに、より成功に導く方法なり、収益をあげる方策なりを提案する必要がある。それなくして、ただただ権利を主張するだけでは、相手も「うん」とは言わないだろう。
残念なことに、NPBは、こうした国際イベントについては素人同然である。NPBは、自分たちの肝いりではじめた日韓台中のアジアシリーズでさえ、うまく仕切る事が出来ずに、途中で投げ出したくらいだ。ビジネス経験のない退役した高級官僚がお飾りに収まっているNPBに、金儲けは無理なのだ。そのレベルでは、スポーツビジネスのプロ中のプロが集まっているMLB側に相手にされないのは、仕方のないところだ。
MLBはこうしたNPBの事情をよく知った上で、足元を見ている。また、NPBと選手会は一枚岩ではなく、選手会としては本気で辞退したがっているのに対し、NPB側は、開催したい意向でいる。そのことも把握しているはずだ。今後は、個別の切り崩しも考えるのではないか。
WBCに日本が出なければ、主催者側は困るに違いないとNPB側は思っているようだが、中国やオーストラリアなどの重要性が高まっている中で、MLBは市場開拓のためにも、3回目のWBCを開催するだろう。現MLBコミッショナーのバド・セリグは、そのために退任時期を延ばしたくらいなのだから。