MLBではすさまじい勢いでデータ分析が進んでいるが、それでも日米の「野球のレベル」を計測する客観的な数式やデータは、存在しないのだと思う。

だからMLB関係者は、NPBから来た選手がMLBで残した数字をもとに、NPB選手の実力を類推するしかない。

例えばNPBで5年で平均15.6勝を挙げた野茂英雄が、1995年ドジャースで13勝を挙げたのを見て、MLB関係者は
「NPBで二けた勝利を挙げた投手は、MLBでも似たような数字を挙げるのではないか」と思って、以後、NPBからの移籍投手の門戸を開けた。

そして2001年、NPBで通算.353の打率をマークしたイチローが、MLBでいきなり.350の打率をマークしたことで
「NPBの強打者は、MLBでも通用する」と判断して、野手陣も獲得するようになった。

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当時のMLB関係者の意識は投打ともに、MLB1:NPB0.8くらいの認識だったと思われる。
しかしこと野手については、その後MLBにやってきた選手が、NPB時代の見る影もないような成績しか挙げなかったために、交換レートはMLB1:NPB0.5くらいにまで下がったと思われる。しかも内野守備は通用しない。こうなると、獲得する意味は全くない。
NPBの選手は若くても20代後半と年を食っている。それに、メジャー契約を求めてくる。ろくに打たない、守備もへたくそな中年選手を取る意味は全くなくなる。

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西岡剛、中島裕之あたりを契機に、MLBは日本人野手に見切りをつけたはずだ。つまり「イチローは例外だった」という認識を持ったものと思われる。

投手の方は、二線級は通用しないがNPBを代表するようなエースはMLBでも通用する。MLB1:NPB0.7くらいで止まっているのではないか。

今年、こうした「MLB、NPB為替市場」に大きな波乱が起こった。
大谷翔平が、異能の活躍をしたからだ。
投手としての活躍は、ある意味で織り込み済みだった。NPBで大エースだった投手は、MLBでも通用するのは、これまでの投手でも証明済みだ。

投手成績

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MLB関係者が驚いたのは打撃だろう。大谷は、NPB時代と全くそん色ない成績を残したのだ。

打撃成績

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MLB関係者は、前のブログで書いたように「これはイチローと同様、大谷が例外的な存在なのだろう」と思ってはいる。
しかし同時に、
「NPBでも打撃が進化しつつあるのではないか」という思いも多少ながら持っているだろう。

MLBの野球はここ数年で大きく変貌しつつある。極端な守備シフト、それを克服するためのフライボール革命、それに対する投手の高めでの勝負。どんどん野球が変わっている。

NPBはよどんだ池のようにいつまでも変わらない印象があるが、ひょっとすると何らかの変化が起こっているのではないか。その結果、大谷のような打者が出てきたのではないか。大谷のような活躍をする野手が他にもいるのではないか。

恐らく、次に続く日本人野手が重要だろう。その選手のMLBでの評価は低いだろうが、大谷翔平までは行かなくても、今までの認識を覆すような打撃を見せれば、交換レートは上がる。

それが筒香嘉智なのか、他の選手なのかは知らないが、そういう存在が出てこないと、日本からMLBへの選手の進出は先細りになってしまうだろう。


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