少し前だが、日本のスポーツ界が「何を大事にしてきたか」を象徴する報道があった
デイリー
日本実業団陸上競技連合が、選手の移籍を巡り「元の所属チームを円満に退部しなかった者は無期限で登録できない」と規定していることについて、公正取引委員会が独禁法違反の恐れがないか調査を始めたことが20日、関係者への取材で分かった。
実業団陸上競技では、選手の他社への移籍に際して、円満退社でない場合は、事実上国内競技から締め出される。
どんな競技でも指導者と選手の相性の問題は存在する。しかし陸上の場合、他の指導者の指導を受けたいと思っても、今の指導者が承諾しなければ、移籍はできないのだ。時代錯誤のルールだと言わざるを得ない。

独禁法への抵触以外に、人権侵害の可能性もあるだろう。

日本実業団陸上競技連合は、取材に対し「選手の自由な移動を許せば、特定のチームに有力な選手が集まり、戦力のバランスが崩れる」と述べている。

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先ほど投稿した「球数制限」をめぐって高野連が「公立高校、弱小高校が不利になる」と言っているのと同じ理屈だ。
こうしたコメントは日本のスポーツ界が、「プレイヤーズ・ファースト」を全く理解していないことを端的に表している。

特定のチームに選手が偏る問題、私学がさらに強くなる問題は、選手の競技環境や、健康を保証することとは別の次元の問題だ。
選手が「スポーツをする権利」を制限して、競技の戦力均衡を図るのは、本末転倒だ。

戦力均衡を図る方策は、選手に我慢を強いる以外にも、いくらもあるはずだ。こうした文言は、要するに「変革したくない」体制側の言い訳に過ぎない。それも相当幼稚な類の。
こうした意識の根底には、選手、アスリートに対する軽視がある。何か不都合があれば「選手が我慢すればいい、これも修行のうちだ」と言ってきた指導者側の知的怠慢がある。

高校野球は、来年から甲子園の日程にもう1日休養日を追加する方針だ。それは一歩前進だが、その程度のことを決めるのに何年かかるのかと思う。
高野連側は「急激に改革を進めると組織が混乱する、波紋が大きい」と説明しているが、プレイヤーズ・ファーストを理解せず、他の理屈で抵抗する人は、これを機に全員退場すればよいと思う。

日本のアマスポーツは、古い指導者が山の上の方にいて、改革の妨げとなっている。彼らの無知と無理解が、スポーツの未来を暗いものにしている。考えを改めることができないのなら、そうそうに辞めるべきだろう。


広島総合・広島市民・マツダS・シーズン最多本塁打打者/1950~1986、2007~2018

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