大相撲は今、不祥事や災難が相次いでいる。一昨年から頻発している暴力沙汰、貴乃花親方の叛旗と実質的な追放、初場所が始まっても稀勢の里の引退と、大揺れに揺れている。

しかし不思議なことに観客動員にはほとんど影響がなさそうだ。初場所は白鵬の一人横綱になった。うんざりするほど見飽きた光景だが、それでもお客がついている。
3月の大阪場所(春場所)の人気も上々のようだ。

2010年の八百長、とばく事件の時は、本場所の客席がガラガラになって、大相撲はもう終わりではないかと思ったが、それから数年で、相撲人気はV字回復した。力士、部屋のモラルハザードは一向に改善していないように見えるにもかかわらず。

一つには、相撲界が綿密なマーケティングをはじめたことが大きいだろう。これまでの相撲協会は、タニマチにはへいこらするが、一般客には「売ってやる」という姿勢だった。しかし今は、ネット販売をはじめ様々なチャネルでチケットを販売している。また旅行会社とのタイアップも盛んだ。私は旅行会社にいたころ、相撲茶屋と組んで相撲観戦+食事のツアーを企画したことがあったが、中高年の反応が良かった。

さらに、最近はメディアが相撲界について逐一報道するようになった。貴乃花騒動のようなネガティブな話題も多いが、稀勢の里の引退などは、すべての局のワイドショーやニュースがトップ扱いで報道した。
昔はそうではなかった。琴桜の引退などは、スポーツ欄でさえもトップではなかった。テレビの扱いも地味だった。
おそらく若貴時代からだと思うが、力士、大相撲のステイタスが上がったのだと思う。

さらに言えば、今の相撲ファンは、「にわか」が多い。2012年ころから大相撲を見だしたファンが、詰めかけている印象だ。昔と応援のスタイルが違うし、反応も違う。そういうキャリアの浅いファンは、批判的な目ではなく「ファンクラブ」的な目で土俵を見ているのではないか。

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昔のファンである私にとって、今の大相撲は全然面白くない。みんな見分けがつかないほど大きくてぶよぶよで、紙相撲のようにとんとん、ころりと転ぶ。投げの打ち合いや、土俵際の粘りなどはほとんどなくなった。ヘラクレス型の手取り力士もいなくなった。この間調べたら、「吊りだし」という決まり手が絶滅同様になっていた。こんなの何がいいのだ、と思う。

でも、お客は来る。

プロ野球の観客席が、試合そっちのけで大騒ぎするファンで埋まっているのと同様、大相撲の客席も変化したのだろう。

仕方のないことだ。私は小さな声で「違うんだけどなあ」と言い続けるしか仕方がない.。


1981年角三男、全登板成績【ストッパーで日本一に貢献、最優秀救援投手も獲得】

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