昨日今日と「嵐」が吹き荒れて、うんざりしている。NHKのニュース番組でさえトップで扱っている。自分たちの番組に出ているからだろうが、新聞だと思って買ったらチラシばっかりだったみたいな残念さを感じる。

記者会見で、やっぱり出たのが「あなたにとって嵐とは?」という質問だ。
メンバーが何を答えたのかしっかり聞いていないが、この質問こそは日本のジャーナリズムの劣化をはっきりと示しているといえる。

本来ならばインタビューは「記者が疑問点や、掘り下げたい部分を取材対象に聞く」「取材対象が、その質問に応じて新しいことを話す」というもののはずだ。
しかし日本の取材陣の多くは「自分たちが想定する答えに、取材対象を誘導する」質問しかしない。
野球で言えば
「会心の一打でしたね?」「そうですね」
「ずっと不振が続いていましたが?」「チームに迷惑をかけたので頑張りたい」

みたいなパターンである。
意外な答え、意表を突くリターンが出ると、紙幅に収まらない可能性もあるし、デスクにお伺いを立てなければならない事態になることもある。
面白くなくてもいいから、無難で型通りの答えを欲しがっているのだ。

もう一つ、ジャーナリズムが脳死状態に陥っているのではないかと思うのが
「あなたにとって〇〇とは」
だ。これは、取材対象に「何か恰好いいことを言ってくれ」と投げるボールだ。
笑点の司会者が「何々で一言」とお題を振るのと同じだ。
これに対し、取材対象は「いいことを言おう」と思って四苦八苦するのだ。
しかしろくな答えは出てこない。
「僕の人生全てですね」「命みたいなものです」「一番大事なものです」

抽象的で「そうですか」としか言いようないものがほとんどだ。

抽象的な質問に対しては、抽象的な答えしか返ってこないのだ。

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筒香の海外特派員協会の記者会見では、女性の外国人ジャーナリストが
「少年野球の母親の現実を知っているか」という質問をした。
筒香の答えはやや的から外れていたが、こういう質問は日本メディアからは出てこない。

日本のスポーツ界ではメディアと取材対象がなれ合いの関係になっているから、記者会見はつまらない。
これから「あなたにとって〇〇とは」と質問する記者がいたら、「あ、こいつは馬鹿で怠け者のジャーナリストだな」と思ってみればいいと思う。


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