投球回数の制限では、子供の肩、肘を守ることができないのは、すでに少年野球で実証済みなのだ。
2015年、ポニー、リトルシニア、ボーイズ、ヤング、フレッシュの少年硬式野球5団体からなる日本中学野球協議会では、中学生投手の投球障害を予防するために、ガイドラインを制定した。

中学生投手の投球制限に関する統一ガイドライン
1.試合での登板は以下のとおり制限する。
  1日7イニング以内とし、連続する2日間で10イニング以内とする。
2.練習の中での全力投球は以下のとおり制限する。
  1日70球以内、週350球以内とする。また週に1日以上、全力に
  よる投球練習をしない日を設けること。
中学生選手の障害予防のための指導者の義務
1.複数の投手と捕手を育成すること。
2.選手の投球時の肩や肘の痛み(自覚症状)と動き(フォーム)に注意を払うこと。
3.選手の故障歴を把握し、肘や肩に痛み(自覚症状)かある選手には適切な治療を受けさせること。また、ウォームアップとクールダウンに対する選手自身の意識を高めること。


すでに少年野球では、投球回数の制限が定着している。しかし、この制度が導入されてからも選手の健康被害は減っていない。
一つには、少年野球は7回制であり、1日7イニングとすると、投手は完投するまで投げられることになる。またダブルヘッダーでも10イニングまで認められているので、完投した次の試合で3回まで投げることもできる。投球回数の制限が緩すぎて、実効性がないのだ。
また、7回で150球を超えることも普通にある。球数と異なり、何球投げようとも無制限であるため、効果が薄いのだ。

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さらに「練習の中での全力投球」は、有名無実化している。チェックのしようがないからだ。また「障害予防のための指導者の義務」は、数値目標ではないために、実態は野放しだ。

「投球回数制限」もその他の施策も、チーム、指導者の「勝利至上主義」が改まらない限り、実効性は上がらない。「球数制限」は、客観的な数字で規制するために、強制力があり、実効性が高いのだ。

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2018年原樹理、全登板成績

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