NPB各球団の歴代の親会社は、それぞれの時代をリードする大企業だった。

設立当初から1リーグ時代まで、多かったのは新聞社と電鉄会社だ。

新聞社は、朝日新聞と毎日新聞がが中等学校野球大会で当てて以来、「野球はもうかる」という意識があった。プロ野球を設立したのは読売新聞だが、草創期の職業野球には名古屋新聞、新愛知新聞と名古屋の新聞社が参入していたし、2リーグ分立時には毎日新聞、その後産経新聞も参入した。朝日新聞にも一時参入のうわさがあった。横浜に資本を入れていたTBSも新聞系と言えるだろう。

しかし新聞社がプロ野球で部数拡大を期待できる時代はもう終わっている。読売、中日両新聞社も球団を保有しているのは面子だけだろう。今の新聞社は右から左まで、既得権益にどっぷりつかって、ビジネス感覚がなくなっている。彼ら自身が古すぎるから、新聞社による野球界の改革は不可能だ。

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電鉄会社も、「野球はもうかる」と思っていた業界だ。甲子園を所有していたことで、中等学校野球で当てた阪神電鉄が職業野球に参入すると、小林一三率いる阪急がすかさず参入。阪急は南海にも誘いをかけた。
2リーグ分立時には、西鉄、近鉄、東急が参入。名鉄も一時期中日に資本参加していた。国鉄も参加した。

しかしバブル期までに国鉄、西鉄、南海、阪急、東急が離脱。西鉄に代わって西武が参入するも、球界再編で近鉄が消滅。今や最古参の阪神と西武だけだ。
電鉄会社は「装置産業」の色合いが強い。ハードを整備してそこに送客する以上の知恵が回らない。私は電鉄系の仕事もたくさんしたが、とにかく「保守的」で、「決めたことをやる」ことに固執する。阪神はともかく、西武は今、柔軟な経営姿勢に変わっているが、電鉄会社が今から参入することはないだろう。

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映画産業の栄枯盛衰は甚だしい。2リーグ分立時には大映、東映、松竹が参入したが、1970年までに消滅した。「映画」そのものが激しく斜陽化したからだ。

こうした企業は、プロ野球を「道楽」で抱えていた。「広告宣伝費名目で処理してよろしい」という国税庁の通達をよいことに、資金と人材を送り込み、収支を考えずに球団を運営していた。その挙句に親会社の業績が傾くと球団を手放したのだ。

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これから参入するのは「球団に金を出す」企業ではなく「球団経営、スポーツビジネスで収益を上げる」感覚の企業だ。
ソフトバンク、日本ハム、楽天、DeNAがそうだが、こうした球団は、収益を出すために「本気で経営している」。そういう認識の企業でなければ、今後の企業運営はおぼつかないだろう。

そういう意味では、今、社会人野球を傘下に持つ企業は軒並みアウトだ。主として重厚長大のこうした企業は、野球選手を人材とみなしていない。昔のプロ野球同様「道楽」としてチームを保有し、社員である選手には申し訳程度しか社業をやらせていない。スポーツビジネスと無関係の運営をしているところがほとんどだ。

これらを勘案すると、今後、NPBに参入するのはベンチャー系、IT系の企業にならざるを得ないだろう。
それとサッカーなど他のスポーツで実績を上げている純粋な、スポーツビジネス系の企業ということになるだろう。


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