3月18日付の読売新聞
読売新聞社と読売巨人軍、スポーツ専門の動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)}は17日、包括提携を締結したと発表した。野球ファンや視聴者の拡大で協力し、スポーツ振興に取り組む。
ついに巨人もDAZNの軍門に下ったかと思われるかもしれない。
巨人中継は視聴率が低迷した挙句に地上波から姿を消した。さらに日本テレビの中継はBSからCSへと後退している。これ以上、ビジネスの展開が望めないから、DAZNに放映権を売ってしまおうということだ。

その販売主体は読売巨人軍ではなく、読売新聞である。巨人のビジネスモデルは「野球をして親会社の読売新聞からお金をもらう」だから、放映権は関係ないのだ。
巨人は、日テレで制作した野球中継をDAZNに販売する。またDAZNが制作した他のスポーツの画像は日テレがハイライトで流す。さらに、読売新聞販売店でもDAZNの視聴者加入を販売する。

要するに、読売新聞が巨人の放映権を切り売りしたというだけである。

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これでDAZNは広島とヤクルトを除く10球団の主催試合を放映することとなった。

しかし、これはプロ野球全体の繁栄にも、野球界全体の振興にも、まったく無関係だ。

DAZNの公式サイトには、放映権を得たスポーツ団体のロゴ・マークがならんでいるが、JリーグやMLB、Bリーグなど他のスポーツは団体のロゴ・マークなのに対し、プロ野球は球団個別のロゴ・マークが並んでいる。要するに、球団が個別に放映権を販売したのだ。

Jリーグは、DAZNと2017年から10年2100億円の巨額の契約を結んだ。この契約金はJリーグに入る。Jリーグはこの資金を使ってサッカーのすそ野の拡大や、Jリーグ全体のマーケティング、さらには経営難のクラブの支援なども行っている。DAZNとの契約で得た資金は、サッカー界全体に使われている。

MLBは、DAZNとの契約など、大きな資金を一括して取り込んで、MLB全体の繁栄のために利用している。ビジネスマンとして優秀なコミッショナーが手腕をふるって、アメリカの野球の繁栄のために資金を使っている。

しかしプロ野球の場合、DAZNとの契約は個別の球団との間で行われたため、NPBには全く関係ない。NPBは相変わらず貧乏で、侍ジャパンのせこい試合をしなければならない。野球普及活動も熱心に行ってはいるが、その資金にもならない。DAZNとの契約は、球団や親会社の懐を潤すだけなのだ。

MLBとの開幕シリーズも、読売新聞、日本テレビが主催している。放映権も日テレが仕切っている。だからMLBの開幕戦にもかかわらず、会場では「巨人ファンクラブ入会勧誘のパンフレット」が配られている。昨日は超満員だったが、その売り上げは全部、読売新聞グループに入るのだ。

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「自分たちのことしか考えない」愚かなNPB球団の体質は、一向に変わらない。
巨人だけ、自分の球団だけが、お金儲けができても、野球界全体がファンを集めて、マーケットを広げなければ、野球の将来はない、ということにいつになったら気が付くのだろうか?



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