フルカウント
【長谷川滋の目】「甲子園を目指さない学校」の必要性 日本の育成システムに警鐘
影響力ある野球人から、こうした声を引き出したのはフルカウントの手柄だ。

昔に比べれば少しずつですが、変わりかけているがそれでもまだまだ遅い。近い将来には必ず出てきますが“甲子園を目指さない”学校が出てくればと思っています。同じような高校同士でリーグ戦を行い、実戦の場が増え、投手にも5、6人のローテを組ませて球数を決める。登板間隔も必ず空くので連投はなくなります。

ここまで思い切った発言をしているのはすごい。
ただ、長谷川滋利は、自身の出身地である兵庫県で、「甲子園を目指さない高校野球部」が存在することを知っているのだろうか?

芦屋学園は、2011年、関西独立リーグの兵庫ブルーサンダーズと教育提携を行い、芦屋大野球部をブルーサンダーズの二軍に、芦屋学園高校野球部を三軍に組み入れるとした。
私は2014年ころから芦屋学園の比嘉悟理事長(初めて会った頃は芦屋大学長)と何度か食事をする機会があったが、比嘉理事長は「甲子園以外の新たな道を高校球児に提供する」と語っていた。比嘉理事長はバスケットボールの指導者上がりで、スポーツ界では有名人だった。

それは良いことではあったが、学生野球協会や高野連は猛反発をした。また関西独立リーグの運営も不安定で、ありていに言えば社会的信用がなかったために、この提携はそれほど実を結ばなかった。
高野連に顔が利く人が芦屋学園側にいなかったのだろう。

ブルーサンダースからは芦屋大学在学中の山川和大がドラフトにかかりそうになったが、学生野球側が山川を「大学を卒業するまでは指名できない」としたために、ドラフト指名(育成)が1年遅れることにもなった。

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関西独立リーグはいったんつぶれてベースボールファーストリーグとなった。兵庫ブルーサンダーズは引き続きリーグに加盟。芦屋学園が実質的にブルーサンダース、リーグの支援者になっていた

ベースボールファーストリーグは、今年から堺シュライクスが加盟し、新たに二代目関西独立リーグとなっている。。しかし、このリーグは四国アイランドリーグやBCリーグに比べても脆弱だ。
四国とBCは、日本独立リーグ野球機構を設立して、プロ、アマが参加する野球協議会に加わって、日本野球の行く末について発言しているが、関西独立リーグは加盟していない。学生野球側が芦屋学園が関わる関西独立リーグを認めていないからだ。

関西独立リーグは他の二つの独立リーグと同様、石毛宏典が提唱してはじまったリーグである。2つのリーグと手を携えていくべきところ、芦屋学園が、のどに刺さった魚の骨のようになっているのだ。
率直に言って少子化が進む現在、芦屋学園自身も学生集めに苦労しているようだ。だから、順調には推移していない。

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甲子園を目指さないもう一つの「高校野球」を本気でやるのなら、複数の高校、学校法人が、しっかりしたビジョンを持って新しいリーグを設立すべきだろう。
そして、既存の学生野球界、高校野球界にも一定の理解を求めなければならない。そういう新リーグの理事長に、長谷川滋利が就任してくれれば、言うことなしなのだが。


2016・18年松坂大輔、全登板成績

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