「あなたはサイン盗みをしていましたか?」 プロ野球関係者30人への衝撃アンケート。
さすが文春という記事であろう。書かれている内容は残念ながら煮え切らないのだが、そういう切り込み方ができたということがすごい。スポーツ紙やベーマガの記者は選手との話で知っていても、記事にすることはないだろう。
1999年に高野連が「サイン盗み禁止」の通達をするまでは、当然のことながら「サイン盗み」は普通に行われていた。現役ではなく引退した世代は「それも野球のうち」だった。何度も書くが野球漫画の世界でも「サイン盗み」は、普通に出てきていたのだ。それが「頭脳プレー」だとみんな思っていたのだ。

一方で「全然なかった」と語る選手、OBもいるのだ。本当のことをしゃべっているかどうかも疑わしいから、はっきりしたことはわからない。

結局

大学やプロで「高度な野球」を経験した人間が指導者となり、「技術」として高校に還流した可能性が高い。

ということなのだ。

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記事の中でベテランの野球人がこう言っているが

「昔の選手宣誓は必ず正々堂々戦いますという文言が入っていたでしょ? 勝つことよりも過程が大切だと今の指導者は教えていないんですよ。プロでもそう。自分でクセを分析するんじゃなく、仲間にサインを教えてもらって打っているやつは頭にぶつけられても文句は言えない。ところが様々な防具が進化して、その覚悟もないままにそうした行為がはびこっているんですよ」(60代、関東地方、出場有、優勝無)

これ、よくわからない。昔の高校野球に「正々堂々と戦った」時代があったのだろうか?
サイン盗みOKで、選手を殴っても怒鳴ってもおとがめなしだった「昔の野球」が、スポーツとして健全だったのだろうか。

この「サイン盗み」の問題は「日本独自の野球文化」の中で醸成されたものだ。

野球だけではない。日本のスポーツ全般にいえることだが、本来は「市民の楽しみ」のために考案された「スポーツ」というものを、勝手に「勝負事」「武道」に翻案して、ルールはそのままに「プレーする目的」「プレーの精神性」「プレーの価値観」などをすべて入れ替えた。そのために他国のスポーツとは外見は同じでも似て非なるものになった。

日本の野球指導者、特に古い指導者にスポーツパーソンらしいさわやかさ、快活さがほとんどなくて、胡散臭い人物のようにしか見えないのは、考えていること、やっていることが実質的に博徒の類とそう変わらなかったからだろう。タバコのにおいも共通するし。

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サッカーは発展するためには「世界」を意識せざるを得なかった。そのためにJリーグ設立、ワールドカップのタイミングで「日本だけのスポーツの価値観」を捨て去って、国際化を果たしたのだ。

しかしそれができない野球などのスポーツでは、いまだに「サイン盗み」はなぜいけないのか、ちゃんと説明できる人がいないのだ。

繰り返しになるが、「サイン盗み」がダメなのは、禁止されているからでも、後ろめたいからでも、実効性がないからでもない。「スポーツの範疇に入っていない」からだ。野球の様々な技術の中に「巾着切りやスパイのまねごとをする」という内容は含まれていないのだ。

明治、大正、昭和、平成と「スポーツとは似て非なるもの」として発展してきた野球は、令和になってスポーツに戻ることができるのだろうか。


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