メディアはまたぞろ、165㎞/h投手、大船渡佐々木朗希の甲子園での大活躍を期待しているが、佐々木はそんなにバカではない。

氏原英明さんが佐々木朗希の「天賦の才」ゆえのリスクに言及している。

佐々木朗希の163kmは朗報か、警鐘か。135kmで故障率2.5倍というデータも

速い球を投げることは、そのこと自体が大きなリスクなのだ。
一般論として、地方の公立高校に逸材が出てきた場合、プロ野球のスカウトにアピールするためには、速い球を投げる必要がある。そして、甲子園でアピールする必要がある。
うまくいけば、吉田輝星のように、一躍国民的ヒーローになり、ドラフト1位でプロ野球に行くこともできる。

しかしそのプレゼンテーション自体が、あたら才能を費消させてしまうリスクを帯びているのだ。
そのことに、メディアもファンも極めて無頓着だ。

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大船渡の国保監督は、野球のコーチングで日本をリードする筑波大の出身で、海外での野球の経験もある。
日刊スポーツ
「日本を代表して、世界のどの国に出ても一生懸命やっていけるように。野球がすべてではないですけれど、その後の人生につながるようにやっていけたら良い」
スポニチ
議論が進む球数制限については「私が今話す立場にない」と言及を避けたが、チームとしては複数の投手を準備する方針を強調。「岩手県に教員として採用されて7年。前任の花巻農から野手にも投手の練習をさせてきた。いろんな投手をマウンドに立たせているし、スタイルは変えない」

もって回った言い方だが、国保監督は、佐々木を甲子園の人身御供にする気は毛頭ない。
もちろん、地方大会では全力を尽くして勝利を目指すだろうが、その過程で佐々木に、未来に禍根を残すような酷使はしないだろう。
「選手に燃え尽きさせてやりたい」みたいな欺瞞は、言わないだろう。

そして佐々木自身もそのことをよく知っているはずだ。165㎞/hの速球はもうアピールする必要はない。周囲からは「なんだ、今日は145㎞/hしか出ないのか」と言われながらでも、セーブしながら投げていくだろう。
球数少なく、頭を使って、精いっぱい夏の予選を戦って、階梯を登れるところまで登るだろう。「高校の部活」の範疇でできることをするだろう。

佐々木朗希は「本当に大事なことは何か」を知っている。そう信じたい。

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10号本塁打一番乗り/セ・リーグ編

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