高校時代、夏の甲子園が終わると大阪では「大阪選抜」が結成された。日本人ではなく、半島にルーツをもつ在日の高校生による「大阪選抜」だ。

彼らは韓国で行われる高校野球の大会に招待されるのだ。現地では歓迎される。しかし、実力的にはKBOがなかった当時の韓国の高校野球は日本より劣っていたが「大阪選抜」が優勝することはなかった。審判が手心を加えるので、必ず途中で敗退していた。
私の知り合いが「大阪選抜」に入っていて「あ、あいつ在日やったのか」と気づくこともあった。

日本と朝鮮は近い。とりわけ大阪はコリアンタウンもあったし、猪飼野のような地区もあったし、韓国、朝鮮はごく身近な存在だった。私もチョッパリ、パンチョッパリという言葉を自然に覚えたものだ。もちろん深刻な差別が存在したが、そんな中で「日本の中の朝鮮」はしっかりと根を下ろしていた。

日本ではまともなルートでは出世できない在日は、芸能界やスポーツ界に進出した。プロ野球は在日の人々がいなければ成立していない。NPBの最多勝も、最多安打も、在日選手によるものだ。最多本塁打、最多打点は中国、浙江省と日本のハーフが打ち立てたものだ。
日本野球は、アウトローとされた外国にルーツを持つ人々によって、ここまでの繁栄がもたらされたといっても良い。

そのあたりにの事情については、関川夏生の名著「海峡を越えたホームラン」に詳しい。私は「漫画アクション」の連載だったころに、在日のおじさんが経営する定食屋で読みふけった記憶がある。

昨今の日本と韓国の反目はかつてないレベルだ。安倍晋三は選挙を意識してこの時期に厳しい輸出規制をした。それは多くの国民の支持を得ているが、ここから先、どのような展開になるのかは、全く見通せない。日本だけでなく、韓国も愚かなポピュリストが政権を握り、自国民受けだけを狙って徴用工問題などを煽り立てている。

どちらも面子があるので引くことができない。国力を削りあうチキンレースである。たとえ体力に勝る日本が勝っても、経済的なダメージは受けるだろうし、韓国はさらに日本への反感を募らせるだけだろう。良いことは一つもない。個人の喧嘩なら一発殴って「留飲を下げる」ことはできても、国同士ではできない。

韓国では抗議の焼身自殺が起こった。日韓ワールドカップのときも焼身自殺する若者が出た。「火病」と呼ばれる激しい怒りをもつ彼らの感情はさらにエスカレートするだろう。日本は大部分の人が無関心だが、今後、日本人に危害が及べば、日本でも激しい憎悪が巻き起こる可能性がある。

この夏、KBOを見に行くつもりで準備をしていたが、1か月遅らせることにした。無用な憎悪に巻き込まれたくないからだ。

日韓、韓日の反目は国際的には「どちらが馬鹿なのか」を競っているように見えている。馬鹿の仲裁は引き受け手がなさそうだ。「負けるが勝ち」ではないが、引き際を知るものが最終勝利者になるだろう。

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