今回の宮迫、田村の記者会見から世の中に広がっている衝撃は、2004年の「球界再編」時の空気とよく似ている。



「窮鼠猫を噛む」というか、盤石と思われた経営陣に、現場が反撃したのだ。古い体質のまま、自己の利益に走り、保身に走る体制に、実害を被るプレイヤー側が痛烈な反撃を試みた。
高度経済成長このかた、体制側が労働側に盾突かれて深刻なダメージを受けることなど、絶えてみることがなかっただけに、新鮮な衝撃を受けたわけだ。

ただ、吉本は平成以降ずいぶん変わってきたのも事実だ。かつては関西ローカルのスターしかいなかったが、今は全国の視聴率を左右する大物が何人も出てきている。これによって芸人の相対的なステイタスが上がっている。

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とりわけ印象的だったのは、今日の「ワイドなショー」で、東野幸治が、「お前が記者会見をするのなら、みんな首や。俺にはその権限がある」という岡本昭彦社長に対して「いつからそんなに偉そうな口を利くようになったのか」と言ったことだ
岡本社長はダウンタウンの世代が売れてからマネージャーについた。50歳前後の芸人は、大卒間なしのぺーぺーのこの人を知っているのだ。
たたみかけるように松本は、
「“芸人ファースト”じゃないと何も意味がない。『芸人がいてのあんたたちでしょ』ということは言わないといけないです」
と言った。まさにこれが本質だろう。

このブログは野球のブログなので、野球に言及するが、日本の野球は監督ファースト、チームファースト、年長者ファーストで、選手がずっと後回しになっている。選手の健康や将来よりも指導者の栄達の方が優先されている。これが、日本野球が世界から立ち遅れている根源だ。
この体質は、野球界や吉本興業だけでなく、日本の組織で共通するものだ。現場で頑張るものより、デスクでふんぞり返っている管理職の方が偉いという観念は、儒教の影響もあるのだろうが、実態に即していないし、不健全だ。

松本人志は吉本トップの大崎洋会長を「兄弟みたいなもの」と言った。私は若い日に仁鶴やさんまのマネージャーを務めていたこの人と何回か仕事をした。サーファーのような恰好をしていたが、どの現場に行っても「大崎さんが」という声が聞こえてきた。やり手だったのだろう。

「大崎が辞めるなら俺も吉本にいない」と松本は言った。
松本人志が大崎会長を擁護したことで、今回の事件はパワハラの当事者である岡本社長が詰め腹を切る形で収束しそうな様相になってきた。私は、松本人志やさんまなど芸人代表が、経営に参画するのではないかとみている。取締役になるのではないか。

それは割と健全なことではないかと思う。少なくとも野球界よりも頭の良い人が多いように思える。
良い方向に向かえばよいと思う。


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