8月3日は、私は「球数制限」という名の本を出す。その本のために、若いライター仲間の豊川遼君に台湾と韓国に行ってもらい、現地の高校野球について取材してもらった。
台湾、韓国は戦前、日本の植民地だった。現地に野球がもたらされたのは日本統治以前の話ではあるが、両国の野球が「日本のスタイル」で行われてきたのは周知の事実だ。
戦前は台湾、韓国、そして満州代表の中等学校が甲子園に出てきていた。台湾の嘉義農林は、甲子園で決勝まで進出したことがある。

シートノックのやり方など、台湾、韓国の野球のスタイルは今も共通するものが多い(アメリカには、そもそもシートノックはないが)。

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しかし、台湾も韓国も高校野球は球数制限をしているのだ。両国ともに紆余曲折があったが、台湾では2006年に始まったWBCの頃から、球数制限の議論が起こり、いろいろルールは変わったが120球を投げると次の2試合は登板できなくなり、100球を投げると連投できなくなるというルールが一般的だ。120球になると投手は自動的に降板する。
韓国では、投球数が変動したが、2018年からは1試合最大で105球と決められている。

日本野球の系統にある台湾、韓国の高校野球でも「球数制限」をしている。MLBの影響下にあるオーストラリアやカリビアン諸国では当然のように「球数制限」をしている。
あるいはルールはなくとも指導者が高校生に100球以上投げさせることはあり得ない。

まったく「球数制限」をせず、投げ放題の国は日本だけなのだ。まさに日本の高校野球は「世界に一つだけ」なのだ。

なぜ日本だけがそうなのか、明快な理由はない。
「日本人は精神力が強いから」「鍛えているから」という人がいるかもしれないが、今やお笑い種だろう。「神の国だから」かもしれないが。

端的に言えば「甲子園で飯を食っている大人がたくさんいるから」ということになるのではないだろうか。
「甲子園」「高校野球」は、そういう大人のためにあるといっても良いのではないか。


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