「球数制限」を上梓したばかりだが、その本に全く欠けている視点について言及した記事が出た。うかつだった。紹介したい。
【佐々木登板回避問題】「練習の変化で高速化、昔とは故障リスクが段違い」国保監督の先輩が語る
今の高校野球は、以前よりも投手のリスクが高まっているというのは、私の本でも指摘した。
それは主として
①飛びすぎる金属バットによる極端な打高投低の進行

②地球温暖化による夏季の異常な高温
にあるとしていた。そう指摘する識者も多かった。しかし、重要な視点が1つ欠けていた。
それは近年の中高生投手の
③球速の異常な高まり
だ。
紹介した記事によると、大船渡、國保監督の筑波大の先輩である山梨県立都留高校の柏木洋和監督は、
昔の高校野球では130㎞/hを投げれば「速い」と言われた。いまよりも30㎞/hも遅い。
当時の投手は130㎞/hをマックスとする球速で長く投げるため、持久力をつける練習をしていたが、今は150㎞/h以上の球を投げるので、故障のリスクが高くなっている。

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とのことだ。
専門家によれば、人間の体は135㎞/h以上の球を投げるようにはできていないという。だから、それ以上の球速のボールを投げれば、1球でも肩、ひじを損傷するリスクがあるという。

しかし球速が上がれば故障のリスクが高まるのは間違いない。近年の高校球児は、球速がアップすることで、肩ひじの負担が大きくなり、リスクが高まっているというのだ。

アメリカでピッチスマートが導入されたのは、MLBのスカウトのアピールするために10代の少年に90マイル以上の球を投げさせるスカウトが横行したことが背景にある。いわゆる「ショーケース」と言われるプレゼンテーションの場で、剛速球を投げさせようとする大人たちがいて、子どもの健康が脅かされているのだ。
だから「ピッチスマート」が導入された。

MLBでもNPBでも近年、投手の球速は上がっている。かつては100マイルを投げることができる投手はNPBには皆無だったし、MLBでもほんの一握りだった。しかし今は、100マイルはすべての投手の現実的な目標になった。
こうした風潮が、高校野球にも波及して、高校の投手は健康被害のリスクにさらされているわけだ。

不思議な話だが、昔はどんなに頑張っても150㎞/hどまりだった球速が、日米ともにどんどん上がっているのだ。技術やフィジカルだけでなく、何らかのメンタルも影響しているのかもしれない。

こうした風潮が続くのだとすれば「球数制限」だけでなく、各年齢ごとの「球速」についての管理も必要になるかもしれない。

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