よく、昔の指導者は「投げ込んで持久力をつける」と言った。別に科学的根拠はなく、経験則でそう言っているわけだ。

スポーツにおける持久力は、2つに分けられる。
まずは「全身持久力」。これは、どんな運動であれ長時間続けることができるように、心肺機能を高めるもの。
そして「筋持久力」。これは、直接動かす筋肉を強化し、太くし、長期的な使用に耐えられるようにするというもの。

投手で言えば、全身持久力がなければ、長いイニングを投げるうちに息が上がって良い投球ができなくなる。フォームが崩れることもある。
筋肉持久力がなければ、体は疲れていなくても、投げるうちに球速が落ちてきたり、球のキレがなくなる。

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つまりどちらの持久力も必要なのだが、鍛え方は異なる。
「全身持久力」は、有酸素運動をすることでつけることができる。ジョギングなどを一定時間継続的に行ったり、負荷が高い運動と軽い運動を交互に行うことで心肺能力が高まる。
昔の投手がひたすら走ったのは「全身持久力」をつける上である程度有効だった。しかし今は、ジョギングだけではなく、緩急をつけたインターバルトレーニングをすることも並行して行われている。

これに対し「筋持久力」は、強化したい筋肉を動かすことで得られる。筋肉を動かすと「ストレス応答」というメカニズムで筋肉は強化される。動かすことによってショックを受けた筋肉は回復しようと努める。これを繰り返すと筋肉は太く発達してくる。このメカニズムで筋肉は強化され、筋持久力は高められる。しかしやりすぎると筋肉は疲弊してしまう。ハードワークをするだけでなく、休むことも必要だ。またあまりにも負荷が大きい運動は「筋持久力」を高める以前に、筋肉を痛める可能性がある。いずれにしても無理は禁物なのだ。

投手の「投げ込み」は、「技術」「制球力」をつけるトレーニングであるとともに、「筋持久力」を高めるトレーニングでもあるが「ストレス応答」のレベルでうまく調整する必要がある。強い強度で激しく投げ込みをすると「持久力」がつくどころか、消耗したり、怪我につながったりする。
「技術」をつけるためには全力投球をする必要は必ずしもない。

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昭和の時代、何百球も投げ込むトレーニングをして、それでも好成績を上げ続けた投手は、要するにサバイバーなのだ。
「無理がきく若い時期にどんどん投げ込ませるべきだ」という意見を鵜呑みにしてはいけない。
コーチ、トレーナーとともに、自分の体にあったオリジナルメニューを作る必要があるだろう。

高校でもこうしたメカニズムを知って科学的にトレーニングをしなければならない。そのようなトレーニングをしている学校もあれば、昔のまんま、投手に投げ込みをさせている学校もある。
いずれにしても「苦しさに耐えて精神力をつける」というのは含まれない。必要がないトレーニングだと言ってよいだろう。



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