※この夏、アメリカから日本に来た大学生が、野球についてレポートを書くとしたら、こんな感じになるのではないか。

日本でもアメリカと同じように野球は人気があるスポーツだ。アメリカでは若者はアメフトやバスケットに夢中だが、日本では若者の多くは野球が好きだ。
日本ではハイスクールの野球が恐ろしい人気になっている。アメリカではハイスクールの野球の大会は州のレベルまでしかないが、日本では全国大会があり「甲子園」という日本で最も伝統のあるスタジアムで行われる。
その人気は、ローズボウルに勝るとも劣らない。ハイスクールの選手はこのスタジアムで、春と夏の2回、トーナメント大会を戦う。


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日本の夏は耐え難い暑さだ。暑さに加えてアメリカでは考えられない湿気があって不快だ。特に大都市圏では8月の気温は40度近くになる。
公共放送であるNHKは、テレビやラジオで「必要がない外出はやめるように」報道しているが、そのテロップが流れる同じ画面で、炎天下の甲子園での野球のゲームを中継している。不思議なことに、日本人はこのことを「おかしい」とは思わないようだ。

日本人にこのことを聞くと?
「彼らはこの大会のために鍛えているからね。それに彼らは“根性”があるからね」
と自慢げに言う。

“根性”は、Gutsのことのようだ。日本の若者は「野球のプレーでうまくなること」に加えて「猛暑の中でも野球ができる」ことができるように鍛錬しているようだ。

アメリカで、熱中症が出るような気候で野球をさせれば、その指導者は「虐待」の疑いで告訴されるだろう。しかし、日本では「暑さで倒れるのは“根性”が足りないからだ」とみなされ、倒れた選手やその親が指導者に詫びることもあるという。

世界中で、10代の子どもがスポーツを通じて負傷することを防ごうという動きがある中で、日本だけは投手が短い期間に何百球を投げるようなことが許されている。そういうことをすれば、その後の選手生活に深刻な影響を及ぼす恐れがあるが、日本では「甲子園で投げて故障するのは光栄だ。本望だ」という選手もいる。

70年以上昔、日本はアメリカと戦争をし、日本の若者は飛行機に乗ってアメリカの艦船に体当たりをした。そういう若者も「日本の勝利のために命を捨てるのは光栄だ、本望だ」と言ったというが、それからどこが変わったというのだろうか。

「甲子園」には、ハイスクールの生徒の健康を脅かすいろいろな問題が存在するが、新聞やテレビはこのことについて、はっきり書くことはしない。なぜなら、ほかならぬ新聞社が「甲子園」大会を考案し、1世紀以上続けてきた主催者だからだ。

日本の新聞は毎日のように若者や児童の虐待について報道しているが、同じ紙面で、猛暑の中で致命的な故障を負いかねない高校野球について絶賛する記事を掲載している。

日本は先進国の中で「報道の自由」や「人権の意識」では、最下位やそれに近いランクだが「甲子園」を見れば、それがリアルに理解できるだろう。


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