韓国戦に負けて、主将の智弁学園、坂下翔馬が泣いたという。かわいそうで仕方がない。

彼らは2年半の間、一生懸命野球に打ち込んで、ここまでやってきた。多くの選手は甲子園に出て、酷暑の中で頑張った。その結果を認められて、U18に選ばれた。この大会は、ジュニアの国際大会だ。「勝つこと」だけが目的ではない。彼ら、将来の野球界を背負って立つプロスペクトに見聞を拡げてもらうのが何よりの目的ではなかったのか。

参加国で「何が何でも世界一」などと言っている国は日本だけだ。他の国は負けても選手の健闘を称え、笑顔で迎えている。メディアもたかが高校生の大会で目くじらを立てたりしていない。

2日前に私は釜山の社稷球場でロッテ・ジャイアンツの試合を見ていた。観客数人にU18のパンフレットを見せたが、誰もそんな大会が、すぐそばで行われていることを知らなかった。テレビでもやらないし、新聞にも載っていない。今、ソウルにいるが、ソウルではなおさら誰も知らない。

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カンカンになっているのは日本の関係者とメディアだけだ。「教育目的」の大会を勝手に解釈して、18歳の子供に「日の丸」を背負わせて、プレッシャーで押しつぶして泣かせている。しかも、国同士の関係が最悪の韓国で。

韓国の人は本当に優しい。こういう時世だから、余計に気を遣って、日本チームや日本人を大事に扱っている。この国を「敵地」にしているのは異常な「勝利至上主義」にうかされた日本そのものだ。

そもそも彼らが委縮したのは、コーチや監督が叱責したからだ。選手は国際親善の場にふさわしく、リラックスして滞在期間を愉しもうとしていたが、その気持ちに冷水を浴びせたのは大人たちだ。
昨日の試合で彼らが失策を連発したのも、コーチや監督が無用の圧力をかけたからだ。

日本チームの監督やコーチは審判に対しても、不信感をしばしば表に出しているという。国際大会では最も恥ずべきことだ。こういう人を国外に出してはけない。海外にいても日本の方ばかり向いて、その評判ばかり気にしているのだ。

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選手は「夏休みをもらった」と思って遠征を愉しめばよかったのだ。長い間遊んでこなかったのだから。そして試合を通じて「野球って楽しいな」と思えるようになれば最高だったのだ。

彼らのかけがえのない最後の夏を、そうしなかった責任、泣かせてしまった大人の責任を、改めて問いたい。



「宇佐美式勝利打点」を調べてみました・2019|8月25日まで

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