U18ワールドカップの結果を受けての後任人事でわかるのは、日本高野連は敗北したという結果責任も、教育的に見て問題があったという指導者的な責任も取る気はないということだ。


報道陣の質問に対して、まともに答えることなく「次回も高校野球監督の経験者から選ぶ」というだけである。そういう意味では説明責任も果たしていない。
とにかく、現在の体制で押し切りたいという意向はうかがえる。

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拙著「球数制限」を何人かの日本高野連関係者に送った。そのうち数人から返事が来た。メールではなくハガキや手紙だったのが今の高野連のアナログぶりを示しているが、返事は「送付への感謝」「書いてあることは理解できる」でも「私はあなたとは違う意見だ」あるいは「あなたが言うのとは違う結論になるだろう」というものだった。
これも同様で「みなさんは、いろいろ言っていますが、体制を変える気はありませんよ」ということなのだろう。

そこに存在しないのは「議論」だ。「あなたはそう言うが、こういう理由があるので変えない、このままでいく」という意見のやり取りはなくて「いや、このままでいく」という調子なのだ。

これは野球界というところがとにかく上意下達で「上の者の言うことを黙って聞く」体質が染み付いているからだろう。下の者や他所者に、説明する必要があるとは思っていない。全部身内の論理で、決定事項だけを通達する。議論をするような文化が育っていない。
おそらく、「球数制限」みたいな本を他所者が出すこと自体に腹が立って仕方がないのだろうが、最近は世間がうるさいのであまり反論はしないだけだ。

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今回のU18ワールドカップは5位に終わった結果もさることながら、その戦いぶり、選手に対する指導者の態度などが、あまりにも古臭くて、世間を失望させた。もうこの人達ではダメだ、と多くの野球ファンが思っている。

しかし、野球ファンも高野連からしてみれば「他所者」であり、耳を傾けるべき対象ではない。それよりも既得権益としての「U18侍ジャパンの監督ポスト」を死守しようとしているのだ。
U12、U15、U23などはプロ出身者も監督を努めている。高校野球だけが日本高野連のポストになっているのは、そもそもおかしいが、高野連はこの権益を維持したいのだろう。

高校野球の競技人口は減っている。高校球児たちも最近は、いろんなことが見えてきて現場改革への思考を持ち始めているが、日本高野連はそういうことよりも「これまでやってきた仲間に迷惑がかからないこと」を第一に考えているのだろう。

典型的な「昭和の日本組織」である。



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