昨今、本当に問題だと思うのが「メディアの劣化」だ。このところの「嫌韓報道」テレビ局のディレクターは、出演者に「できるだけ派手に煽ってほしい」と要請していると伝えられた。
それだけではない。このあいだのU18ワールドカップでも、日本の報道はひどいものだった。
まもなく、日本でラグビーのワールドカップが始まる。私の世代では、ラグビーと言えば新日鐵釜石の松尾や、神戸製鋼の平尾、大八木、林らの活躍だ。そうした時代のラグビーと、今回のワールドカップがどんなふうにつながっているのか知らないが、とにかく日本のラグビーは世界からかなり遅れているというのは察しが付く。

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なのに後進国日本にワールドカップがやってきた。私はここ数年、東大阪市で書き物の仕事をすることが多いが、聖地花園があるこの町では、ずいぶん前からワールドカップで盛り上がっていた。
しかし、そうであってもラグビーを野球やサッカー並みに理解する人は少ないのだ。

日本では、ラグビーはずっとマイナースポーツだった。神戸製鋼の平尾など一部有名人は出たが、スポーツとして多くの人が注目することはめったにない。
以前、高校ラグビーの強豪校である東海大仰星の湯浅大地監督に話を聞いたことがあるが、「日本ではトップになっても飯が食えないから、ラグビー選手は勉強もさせるし、映画や文学、文化のことも学ばせる」といった。野球馬鹿を今も大量に生産している高校球界に比べても大したものだ、とずいぶん感心した。

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英国発祥のラグビーは、そもそも文化の香りのするスポーツなのだ。むくつけき男たちの戦いは、実は知的で洗練されている。Numberのラグビー特集を私は何冊か持っているが、読み物として面白いのだ。

せっかくワールドカップが日本にやってくるのだから、おそらくキャッチフレーズの通り「一生に一度」のことだから、この際ラグビーのルールや技術、そしてこの競技の背景なども深く学べばいい、と思うが、メディアはおそらくまた「日本は勝てるか」しか言わないのだろう。

勝ってるはずがない強敵に立ち向かう時でも「勝て」としか言わない。「ジャイアントキリング」以外は期待しない。私はラグビーでは圧勝惨敗の試合もなかなか味があると思うが、メディアは負けてしまえば洟もひっかけない。

今のメディアはラグビーの競技としての文化的側面や、スポーツとしての魅力はどうでもいいのである。解説者はともかく、アナウンサーも絶叫するだけだ。彼らがスポーツ好きだとはとても思えない。
日本中を炎上させることができれば、なんだっていい。
端的に言えば韓国もU18の高校生も、ラグビー日本代表も、大手メディアという「焚火」にくべる薪でしかないのだ。

とてもスポーツ先進国とは言えない。特にNHK以外の地上波テレビは、もうスポーツ中継をやめればいいのにと思う。

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