「昭和の時代」の高校野球は確たる信念で指導されていたと言われるが、ここ2年のU18でお指導を見ていると、実態はどんなものだったのかが浮かび上がってくる。

この2年、U18侍ジャパンを指揮した永田裕治監督は、報徳学園、中京大を経て桜宮高校、報徳学園のコーチ。桜宮では、履正社の岡田監督の後任だ。1994年から報徳の監督になって、センバツ優勝1回、神宮大会優勝1回。甲子園出場12回。抜群ではないが、名将の一人だ。

この監督が「新しい高校野球の流れ」とは無縁であることは、ここ2年の指導で見えてきた。いわゆる勝利至上主義で、選手にプレッシャーを与えて頑張らせようというタイプだ。

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最近の監督だけに、データの使い方は心得ている。スコアラーのデータから、相手投手の癖や傾向、相手チームの守備位置、打者の傾向などを割り出して、作戦に活用している。投手起用などでも、それを思わせることはあった。

しかしながら、球数制限がある中で、自軍の投手を、決勝戦から逆算してローテーションを組んで配することはしなかった。奥川恭伸、佐々木朗希が、使えないというアクシデントがあったこともあるが、創志学園の西に多投させるなど、「使える投手を手当たりしだいに使う」という起用法だった。
計画的な投手起用は他のほとんどチームが実施していたことだ。この点では、日本の高校野球は、もう先進国とは言えない。

そこから見えるのは「国際大会に臨んで、事前に準備する」人ではなかったということだ。2年間も采配を執りながら国際大会の戦い方を学ばなかった。
良い言い方をすれば「国際大会だからといって野球の戦い方が変わるわけではない。いつものとおりやる」ということだろう。

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それから「国内の評判」が非常に気になっていたということ。
昨年は「吉田輝星を使わなければ、何を言われるかわからない」と思って吉田を使い続けた。また、今年は「佐々木を無理に使ったら、何を言われるかわからない」と、佐々木を投げさせなかった。佐々木は唯一の登板で肉刺が潰れたが、前日までかなりの投球練習をしていたという。このあたり、調整法に問題が合ったのではないか。
国際大会だが、世界に学ぶのではなく、海の向こうの日本のことを機にしていたのだ。

そして、決定的だったことは「スポーツマンシップ」について無知だったこと。サイン盗みについては、「不文律には従わない」と公言していた。選手の前で外国人審判への不振を口にするなど、今どきの指導者としては考えられない言動だった。
選手がサイン盗みを拒んだのは当然のことだった。

おそらくベンチの雰囲気は最悪だっただろう。トップ選手の意識は、指導者よりも遥かに高くなっていたはずだ。ある意味で、選手は指導者を見下ろしていたのではないか。

来年、U18アジア大会に監督を選ぶのなら、永田監督と真逆の指導者を選ぶべきだろう。日本高野連には任命責任がある。


ルーキー最多安打レース・2019

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