私は生まれてこのかた、阪神ファンだったことはない。阪神ファンを「ケッ」と思って生きてきた。六甲おろしはいい歌だと思うが、タイガースが勝ってもうれしいと思ったことはない。
しかし今日だけは、阪神にがんばれ、といいたい。

今年のペナントレースの終盤はいつにもまして、みっともないシーンがあちこちで見られた。とっくに戦力ではない選手が公式戦に出たり、臭い田舎芝居みたいな演技をしたりして、ファンやメディアが100g38円くらいの安い「感動」にむせぶシーンがあちこちでみられた。

何度も断りを入れるが、私は福浦和也や永川勝浩や阿部慎之助の選手としての功績にケチをつける気は毛頭ない。しかし、彼らは役者でも芸人でもない。彼らのパフォーマンスは、野球に限って金を払って見る価値がある。そして金をとれるパフォーマンスができなくなったら、彼らはさっさと退場すべきだ。
なのに彼らはなおもグラウンドに出てきて、違う種類のパフォーマンス、芸とか演技とかを見せたわけだ。頭がめでたい客とメディアがそれを「感動」にしてしまったが、このためにペナントレースの終盤は何とも緊張感のない、ゆるんだものになってしまった。

※追記。阿部慎之助は戦力だという声があるが、「引退」を宣言した選手は、いかに力が残っていようと純然たる戦力ではない。特にシーズン最終盤になれば「忖度」の対象になる。

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そんな中で、ひとりまなじり決して野球をしていたのが阪神だ。5割ちょうどで終わった広島をおいかけて、あと1つで逆転でポストシーズン進出といいところまでこぎつけた。

阪神も29日の試合では、引退を宣言したメッセンジャーを1人だけ投げさせている。これもひどいと思うが、功績のある引退選手を公式戦に出場させることが前例になる中で、彼だけを出さないということはできない。矢野監督は出したくはなかったはずだ。メッセが大島に打ち込まれないか、ひやひやしていたはずだ。

阪神がきょう勝てば、広島に代わってCS進出が決まる。中日は防御率1位がかかる大野雄大を出す。これも真剣勝負の構えだ。ラグビーワールドカップとはくらぶべくもないが、それでも本当のスポーツの醍醐味が期待できる。
ちなみに引き分けた場合は5割の同率になるが、この場合、パならば直接対決の勝敗(阪神の13勝12敗)で阪神が勝ち上がるが、セは勝利数なので。70勝の広島が68勝の阪神を下すことになる。阪神は「必勝」なのだ。

阪神の追いはぎが成就してもよし、あと一歩で負けて悲嘆の涙にくれるもよし。
どっちにしても、ぬるくてろくな味のしなかったプロ野球ペナントレース終盤を本物のスポーツの感動で締めくくってくれるはずだ。

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「宇佐美式勝利打点」を調べてみました・2019|9月24日まで

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