関西では、織田信成は「下駄履きタレント」のようなものだ。午前中のゆるいワイドショーのレポーターとして毎日のように顔を見かける。

人気があるのはよく分かる。とにかく優しそうで、頭の回転も良い。やや「気が弱い」印象なのも、女性には好感度アップの要素だろう。
「泣かぬなら 私が泣こう ほととぎす」という感じで、存在自体がコミカルではあった。

しかし彼は悩みを持っていた。
関大アイススケート部の監督退任に際して、モラハラがあったと自ら打ち明けた。

ブログで、
「多忙を理由に監督を辞任したわけではない」「本当の理由は、私に対して嫌がらせやモラハラ行為があり、今年春ごろから体調を崩すようになり、辞任するまでの3カ月間リンクに行くことができなくなった」「大学の対応が誠意あるものに思えなかったから」

と書いた。
その背景には、実質的に部を掌握していた女性ベテランコーチとの軋轢があったという。
男子は、高橋大輔の恩師の長光歌子コーチがいるが、織田信成は実母の織田憲子コーチが師匠だ。さらに女子スケートを束ねる濱田美栄というコーチもいた。
この濱田コーチとの確執があったという。

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そういう派閥抗争的なこととともに、指導方針の違いもあった。
織田信成が、選手に「大学生として勉強をする時間」を与えるとともに、自主的な練習をさせようとしたのに、濱田コーチは、従来どおり練習漬けで選手を鍛えようとした。

織田は世界のアスリートを見る中で、日本のような「練習をさせられる」環境に大いに疑問をいだいたのだろう。日本版NCAAと言われるUNIVASの考え方でも「スポーツ馬鹿」を量産する今の大学のやり方を改め、まともな大学生として学ぶことや社会常識を身につけることも重視する方向性になってはいる。

しかし、多くの大学の指導者は、選手をしごくことで実績を出してきたし、そのことで強烈な上下関係を作り、派閥のボスとしてのさばってきた。UNIVASのような考え方は、迷惑でしかない。

関西大学は、織田信成に広告塔の機能を期待していたのだろうが、織田は生真面目に大学改革に着手しようとしたのだろう。
しかし心優しい青年に、魔界のようなスポーツ界の改革などできるはずもなく、手もなく敗退したということだろう。大学の無責任さ、仕切りの悪さが根底にある。

これは野球界にとっても他山の石だ。大学野球では「野球を食い物」にしている大学がたくさん出ている。勝つこと以外に何も教えない「大学」が、部員数を増やしている。
一方で、これを改革すべきだという動きもあるが、織田信成のように徒手空拳では勝てない。
高校野球の次は大学野球の「昭和の旧弊」にもメスをいれるべきだ。


ルーキー最多安打レース・2019

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