菊池涼介のMLB挑戦について、メディアはみんな言いにくそうな感じで取り上げている。専門家たちはみんな心の中では「通用しない」と思っているのだが、そうは言えないから、奥歯にものの挟まったような言い方をしている。
珍しく中日新聞がシビアな記事を書いているが。
メジャー挑戦の広島・菊池涼介に米メディアは辛らつ 「日本球界でも平均的な打者。強肩ではなく守備は二塁限定」さらにFA市場は二塁手の宝庫



しがらみがないのだろうか。こう記事がもっと出るべきだ。

多くのメディアは、どこどこのMLBチームは、今、二塁が手薄だから、菊池を欲しがるかもしれない。とか、守備だけなら通用するかもしれない、など。可能性重文みたいな記事を書いている。

菊池がまだペーペーの野球選手で、これから試してみてもいいという存在なら、スプリングキャンプに呼んで守らせたり打たせたりすることはあるかもしれないが、菊池はNPBを代表する有名選手だ。NPBでの年俸は億を超える。しかもポスティングだから、広島に億単位の金を払わなければならない。そこまでして獲得するチームが出るかどうか。

菊池と同じ「日本のスモールボールの名手」、田中賢介は、MLBでは実に惨めな扱いだった。屈辱的だったのは、二塁守備が売りの田中が打撃以前に、マイナーの段階で二塁手失格となって、MLBでは外野しか守れなかったことだ。
西岡剛や中島裕之などの内野手も、守備で「だめだこりゃ」となってしまった。
菊池にもしオファーがあるとすれば、同じようにまず守備を見られることだろう。
日本の内野手の評価が低いのは、人工芝と土の内野で守っているからだ。イレギュラーが前提の芝の内野での経験がほとんどない内野手は、少し守らせれば馬脚を露す。
日本の野球はいろいろな点でガラパゴスだが「内野に芝がない」ことも大きいと思う。韓国や台湾でも内野に芝が張っていない球場はまずないのだ。

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広島は、そして菊池自身も「ポスティングでオファーがなければ球団に残る」ことを前提にしているのだと思う。ひょっとするとそれと引き換えに「FA宣言しない」みたいな取り決めがあるのかもしれない。
その辺の事情を百も承知の日本メディアだが、それをそのまま書くことはまずない。球団に怒られたくないからだ。
だからその辺の事情をあまり知らないファンは「菊池がメジャーに言ったら何割打つか?」とか「メジャーのどの遊撃手と二遊間を組むか」みたいなことを思ってしまう。これ、罪作りだと思う。

MLBの野球はここ数年でもどんどん進化している。守備も、打撃も、投球も新しい考え方が次々生まれている。
しかし日本プロ野球は、大きな変化はない。相変わらず「打球は正面で捕れ」「先発完投が基本」という野球人がたくさんいるのだ。

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昔のまんまの見方しかしない野球人と、本当のことをまっすぐに言わないメディア、ガラパゴス化はこうして進行する。
中日新聞はドラゴンズについてもこういう姿勢で書いてほしい。


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