ベテランの野球人の中には「素人のくせに」とか「こいつが野球をやったことがないのは一発で分る」などという人がいる。私などもそう言われる人の一人だ。

特に昭和の元野球人は「自分は野球のマイスターだ。野球のことならわからないことはない。なんでも知っている」と思っている人が多い。
張本勲の「野球で最高の技術を持った人が、アマチュアや子供の技術が足りない未経験者に教えるのに何の研修が必要なの?」という言葉などが典型的な彼らの認識だ。

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野球界は昭和の時代から激変している。平成以降球場のサイズも変わった。
野茂英雄以来、MLBの野球も急速に流入した。MLBは、毎年のように野球のスタイルやルールが変わるが、そうしたものも1年遅れでNPBやアマチュア野球に流れ込んでいる。

その影響を受けて、日本野球は激変した。投手の先発完投は「死語」に近くなり、打者も「球に逆らわない打撃」がベストとは言えなくなっている。変化球は種類が増えて、マネーピッチになり、奪三振数は増えた。投手の投球回数は減少し、1試合当たりの投手の起用数も増えている。

さらに「牛や馬のように選手をこき使う」野球は、近年のコンプライアンス意識の高まりとともに、社会の指弾を受けるようになった。
ITの進展により、情報は瞬時に広がるようになった。野球界の変化も不祥事も、あっというまにみんなが共有するようになっている。

そういう時代になっても「昭和の野球人」は、「俺たちより野球に通じている人間はいない」と思っている。いつの間にかはしごを外されて宙に浮いていることに気が付かない。
多くはデジタルデバイドによって「情報弱者」になっているが、そのことにも気が付かない。

仁志敏久は「『俺たちの時代は』はポンコツ」と言った。古い野球人の経験則はもう通用しないということだ。
その認識がない野球人が、プロでもアマでものさばっていることが、野球界の進化の深刻な阻害要因になっている。


1985年福間納、全登板成績【やられたらやり返せ、リーグ優勝&日本一に貢献】

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