私は東京、神保町の古書店ビブリオの小野さんと仲がいい。近くに行けば必ず立ち寄る。

この店は知る人ぞ知る名店だ。野球選手や力士のサインの取り扱いでは、おそらく日本一だろう。有名な野球人が亡くなると小野さんに連絡が入り、お宅に駆け付けて遺品の買い付けをしている。

店でいろんな選手のサインを見せてもらった。偉大な選手が丁寧に揮ごうした色紙や、優勝チームの全選手の寄せ書きなどは、さすがに迫力があった。小野さんの店には、選手が殴り書きで書いたようなサインはもちろんなかった。

私はこうしたものを収集する趣味はないから、家にはほとんどないが、サインや揮毫は、その選手へのリスペクトの象徴だろう。書家でも芸術家でもない運動選手の筆跡をありがたいと思い、大事にしようと思うのは、その選手のすばらしさを熟知しているからこそだ。
価格は、サインの持ち主のリスペクトのもとづくものであり、そこに同じ価値を見出す好事家が金を出せばいいものだ。そういう意味では「市場価値」ではないといってもよい。

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毎年、この手の話がちょくちょく出てくる。自主トレやキャンプ中の選手に、サインを強要するのだ。
今の選手は「ファンサービスをするように」と教育されている。ファンを冷たくあしらうことはない。しかし彼らの本分は野球であり、サービスはその次だ。選手がサインに応じると、我も我もと並び、自分がサインをもらえないと騒ぐのだ。
この手の低レベルな輩は、どこにでもいるし、なくすことはできない。広報の江村将也に暴言を吐くなど、リスペクトのかけらもない。
こういう形で、選手が殴り書きのように書いたサインは、大した価値はない。見る人が見れば、どういう状況で書いたかはすぐにわかるのだ。

こういうどうしようもない輩を排除するために、球団はファンクラブや私設応援団と協議して明確なルールを設けるべきだろう。そして、球団と選手が了承していない状況では一切サインをしないという取り決めをすべきだ。またサインする時間は明確に決めて、それ以上はしないことにすべきだ。

選手のサインを無理強いするような輩は、たいして金も使わないし、サインを大事にしないだろう。選手へのリスペクトもないのだから。転売目的のバカもいるだろう。それを防ぐために、必ず宛名を書くなどのルールも設ければいい。

選手のサインは「その価値を認める」人だけに流通するものだ。それがわからないバカな人は、全部閉めだせばいいのだ。

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