成人T細胞白血病(ATL)は、非常に特殊な病気だ。

ATLを引き起こすのはHTLV‐1というウィルスだ。これは、エイズのウィルスと同様、レトロウィルスの仲間で、逆転写酵素を使ってRNAをDNAにして病気を起こす。
このウィルスは、母親の母乳を子供が飲むことでのみ感染する。そして感染してもほとんどが発病しない。
ATLのキャリアは100万人と言われるが、発病するのは年間1000人以下だ。そしてATLは、日本では沖縄から南九州の出身者だけが感染する。母乳経由なので、感染経路が極めて限定されている。
この地域は、世界で最もATLの感染者数が多い地域だ。

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今はATLのキャリアであるかどうかは、血液検査でわかる。北別府は数年前にATLのキャリアであることが分かったようだ。発症は0.1%以下だが、不運なことに北別府は発症した。治療は極めて困難とされているが、今は少しずつ治療実績が上がりつつある。

この病気のメカニズムを解明したのは、日沼頼夫という研究者だ。私はこの先生が塩野義医科学研究所にいるときにパンフレットを作る仕事をした。口うるさくて、書いたものは全部書き直される厄介なクライアントだったが、この日沼先生が、レトロウィルスの性質を明らかにしたことが、エイズの治療を飛躍的に進歩させることにつながった。文化勲章を受章し、ノーベル賞候補にもなったと記憶している。

ATLのキャリアは世界的にも南九州と東南アジアの限られた地域に集中している。このことから日沼さんは日本人のルーツを解明する本も書いている。

久々に成人T細胞白血病という言葉を聞いて、思い出したことを書いてみた。


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