結局、こうした情けない犯罪が起こるのは「自分で考える」という習慣が身についていないからだ。
野球だけではないが、日本の「部活」は、指導者が「先に答えを言って、それに生徒が従う」のが基本だ。
指導者が「ああしろ、こうしろ」と言って、生徒が「はい、わかりました」という。優秀な生徒とは、指導者の言うことをしっかり聞いて、指導者のイメージ通りにやって見せる生徒だ。

さらに体育会系では、指導者が「ああしろ」ということに対して、質問したり、聞き返したりすることができない部活もある。指導者が一度命じたことを、わき目もふらず一生懸命にやる人間がよいとされる。

ルーツをたどれば「軍隊」ということになるだろう。軍隊では上官は「命を賭して戦え」と命じる。一個の生物として冷静に考えれば、それには絶対従えないはずだが、上官が下した命令には絶対服従で、聞き返すことなどできないルールになっている。兵士はその環境に順応するうちに、自分の命さえも大事に思わなくなるのだ。

IMG_5229


日本の「部活」も軍隊に近い仕組みになっていたから、生徒は指導者の命令に盲目的に従う。指導者にとってはらくちんこの上ない仕組みだったからだ。
日本の指導者はハードな命令をして、それに黙って従う生徒を「優秀」とし、「精神が鍛えられた」という。実際は「精神が磨滅した」のだが。

花咲徳栄出身の20歳のような犯罪を起こさせないために、高校の指導者にできることは「盲目的な服従」の経験をさせないことだ。なかににはそれが快い「完全受け身型」の人間もいるのだ。

そういう人間も含めて、すべての生徒に「自分で考える」習慣を付けさえることだ。それこそが教育者の役割だろう。


1960年小野正一、全登板成績【リーグ優勝&最多勝、リリーフで21勝】

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!