コメント欄で的外れな議論が行われているので、整理をしておきたい。

大学の野球競技人口増加の問題点は以下の3点だ。

①野球関連の仕事が増えていないこと
卒業してプロ野球に行くのは数パーセント、社会人野球は企業チームが減少している。選手としての次のステップは極めて限られている。高校野球の指導者もプロ野球の資格回復などもあり飽和状態になっている。「野球で飯を食う道」がどんどん狭くなっているのに、大学野球部員が増えているという点。
しかも「野球」は、学閥が非常に強い。先輩の引きで指導者の口にありつくケースが多い。指導者になれる学校は、限られている。新興大学は、卒業しても野球以外の道に進むしかない場合が多い。

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②部員が急増した野球部の中には教育が十分でない大学があること
例えば南東北大学野球連盟で言えば、加盟する9大学のうち、石巻専修大学、東北公益文科大学などが「Fラン」と言われている(諸説あるが)。Fランとは、偏差値が低かったり測定不能だったりする大学であり、実質的に無試験であり、中には講義が成立しないといわれる大学もある。
新興大学の中には、実質的に「野球だけをさせている」大学もあり、教育としては極めて不十分だと言わざるを得ない。しかもこうした大学を出ても野球関係の仕事に就くことは極めて難しい。また中退者も多い。

③大学の野球指導が適切でない場合があること
これは新興の大学だけではなく、いまだに暴力や罵声、罵倒で学生を動かしている指導者が少なからずいる。駒沢大の例もそうだが、絶対的な上下関係や、非科学的な指導なども依然、横行している。
部員数が増えたことで、これらの学校では部員のストレスも増大している。環境が悪化している可能性が高い。

日本版NCAA「大学スポーツ協会(UNIVAS=ユニバス)」の導入が決まり、大学スポーツは変わろうとしている。
ユニバスの肝は、大学スポーツの収益化と、選手の「大学生としての教育の強化」だ。特にスポーツ選手の教育の強化は一部大学で実施されつつあるが、Fラン大学などは、まだとてもとても、という状態だ。NCAAとは比較にならないほど遅れている。

ユニバス自身の実効性に疑問も出ているが、「最近は野球部員でも授業に出ているし勉強もしている」というのはごく限られた事例に過ぎない。教育レベル、教育環境の格差は広がっている。

そんな中での「競技人口の増加」は、大学サイドの単なる「営業」であり、スポーツ的な観点からも、教育的な観点からも、好ましいとは言えない。

こういうことだと思う。


1960年小野正一、全登板成績【リーグ優勝&最多勝、リリーフで21勝】

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