私は毎年プロ野球を40~50試合ほど見るが、今でも慣れないのは「お客でいっぱいの球場」だ。
1970年代から昭和の終わりまで、私は主としてパ・リーグの球場に通っていたが、いっぱいになったことはほとんどなかった。唯一強烈な印象が残っているのは、1988年10月15日、本拠地大阪球場での南海ホークス最後のゲームだった。

ほとんどの試合では、前売り券を買ったことはなかった。試合開始直前に球場に行ってもどのシートも買うことができた。
大阪球場などは、入り口に「招待券」の束があって、懇意になった近所の喫茶店の子供が勝手に盗ってくれたりもした。



大阪球場の場合、応援団は右翼外野席と内野席にあった。外野は100人くらいいたかもしれない。内野は数十人だった。
あとはぱらぱらとお客がいるだけ。雑音が混ざるスピーカーから「行進曲」が、邪魔くさそうに流れる中で、淡々と試合が行われた。

野村克也はいつも、いろんなヤジを浴びていたが、面白くなさそうにスタンドをにらみ返すだけだった。
広瀬叔功、桜井輝秀、藤原満、まだ少し細かった門田博光などの選手が打線に並んだが、拍手もまばら。野球の音がよく聞こえたものだ。

近鉄や阪急はまだ三塁側もよくお客が入ったが、東映(日本ハム)、ロッテ、西鉄のときは、三塁側は少なければ20人ほどしかいなかった。

驚くのはどんなにお客が少なくても、その中に応援団がいたことだ。

この点、今の独立リーグもそうだ。アウェーのチームのお客はほとんどいないが、中にはたった一人で太鼓を鳴らし、応援する「応援人」がいたりする。

一塁側からは「親泣いてるぞー」みたいなヤジが飛んだ。

詰襟の学生が「ビールどうで―」と売りに来る。買うと瓶ビール(のちに缶ビールになった)を、紙コップにさかさまに突き立ててビールを注いでくれたものだ。それがなかなかうまかったのだ。

5回になると「ちゃんこ志賀」のお食事券があたる抽選がある。この店、大阪に数軒あるが昼は千円台で一人ちゃんこが食べられる。私は大好きで、今もいくが、大阪球場でお食事券があたったことはない。

秋口になるとずいぶん寒かったものだ。そういうプロ野球の風景はもうなくなった。

去年、プサンでロッテジャイアンツの試合を見たが、客の入り方がちょうどそんな感じで、懐かしいなと思った。
そういう時代を知っているから、今のちゃんちきスタジアムが、鬱陶しく思うのだ。

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