プロ野球や高校野球にも「運動記者クラブ」というものがある。私などはフリーランスだし、経験も浅いので入ることは不可能だが、取材などでは最優先の扱いだ。
選手への囲み取材や、記者会見でも記者クラブの幹事社の代表質問が最初だ。それからあとはメディア名を名乗っての質問となる。

そもそもこうした記者会見に私たちなどが招かれることが異例で、ふつうは知らないところで記者会見やインタビューが行われている。

我々が選手やコーチ、関係者に話を聞こうと思えば、球団広報を通していちいちお伺いを立てなければならない。断られることもあるし、非常に短い時間しかもらえないこともある。
フリーランスだけでなく、雑誌系の記者もそういう形で許可をとることが多い。

しかし記者クラブに入っているメディアの記者は、首からぶら下げたパスを見せればそれでOKだ。誰とでも親密に話をすることができる。
フリーランスや雑誌系の記者は、何度も通って人間関係を作ってようやくしっかり話がきけるが、新聞やテレビは、そのパスさえあればすぐに話ができる。

しかしそういう人間関係は、なれ合い、もたれあいにつながりかねない。選手や球団の意向を忖度して、聞くべきことを聞かなかったり、聞いても書かなかったりする。いわゆる「忖度の関係」ができるのだ。

そういう取材ばかりしている記者の中には、何の制約もない普通の記者会見やインタビューでもまともに話を聞くことができなくなる。どうでもいい話しか引き出せなくなる。

そもそも予定調和的な記事を書く気しかないから、予想外の答えは困るわけだ。

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アマチュア野球では、ときどき「どうせ新聞記者はろくな質問しないので、広尾さんがちゃんと質問してください」と主催者から言われることがある。

スポーツの世界でもこういう関係になっている。政治の世界でも、一部の「本当に新しいことを聞きたい記者」と、大部分の「聞いた風の記事を書いてOK」の記者で成り立っているのだろう。

昨日、リモートで行われた日本高野連の記者会見では、あるフリーランスのライターが呼ばれなかったという。彼はいつも、核心を突いた質問をする。新聞記者が彼の質問の返答を慌ててメモすることも多い。

ナーバスな話題だったからだろうが、その結果として今日は「お涙頂戴」の安い記事が氾濫しているわけだ。


2018・19年髙橋遥人、全登板成績

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