木村花と言う年若い女子プロレスラーが、SNSにいじめ殺された事件は、今の日本が相当変質していることを象徴している。
彼女は「テラスハウス」という番組に出演していた。この番組は若い男女に共同生活をさせて、様々な男女関係が発生するのをそのまま放送するというものだ。アメリカで人気のリアリティショーというスタイルで、フジテレビがこれを日本に持ち込んだものだ。
子どもの頃、カブトムシのつがいを一つの箱で買っていた。、夜中にふたを開けたら交尾をしていて、子ども心に何か気まずいものを見た思いがしたのを覚えている。要するにこの番組は、そういう趣旨である。他人の色恋沙汰を、安全な立場から覗き見て楽しもうというものだ。これが楽しいという神経が私には理解できない。世の中にはくだらない人間がいるものだと思う。「品性下劣」と言う言葉が浮かんでくる。

ここに出演するタレントは、何とかして世に出たいと思っている。プライバシーを切り売りしてでも、世間に知られたい、有名になりたいと思う。「テラスハウス」には、台本があるとのことだが、それでも出演者はなにがしかの本来隠しておくべきものをさらしている。
制作側は、台本がないという前提なので、番組で起こるすべての責任をすべて出演者に押し付けることができる。非常に下劣だ。

それでもここまでは、大過なくきた。出演者はSNS上で叩かれたが、同時にそれは知名度アップにもつながるので、誹謗中傷は「コスト」のようなものだった。
しかし、今回死んだ女性は。誹謗中傷を客観的に受け止めることができずに、死を選んだわけだ。

局側は当然想定すべきことだった。
プライバシー、あるいはプライバシー様のものをさらせば、誹謗中傷は必ず来る。人によってはそれで精神を病む人も出てくる。SNSがその端緒になることも予見できた。
しかしこの番組は、SNSによって拡散される。出演者のSNSを禁じれば、ビジネスモデルが成り立たない。
最初からこの番組は、出演者が精神的に傷つくことを前提にしていたといえよう。放送局が出演者の「心を搾取した」ともいえる。モラルが低いフジテレビならではだ。

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今や多少の有名人でSNSをする人には、匿名のネット民が必ず付きまとっている。従来のメディアと異なり、SNSは有名人に直接コミットすることができる。あたかも有名人の知己になったかのような近さがネット民の気持ちをゆすぶり、過激なコメントへとつながっていくのだ。

名前を隠して自分が安全な立場にいれば、どんなひどい言葉でも言えるという品性の持ち主は、おそらくいつの時代もいたはずだ。今は、それが妄想ではなくSNSで実際にできるようになった。相手に打撃を与えることができるようになって、エスカレートしたのだ。

韓国ではSNSの誹謗中傷で、多くの芸能人が自殺している。韓国は学歴社会で貧富の差が大きく、社会のストレスが高い。それだけにSNSも攻撃的になっていた。

日本で、こういう形で死者が出たのは、新型コロナ禍で、社会のストレスが高まったことと無縁ではないだろう。

しかし、これは許されることではない。ダルビッシュも声を上げているが、匿名をいいことに、どんなことでも言うような存在を許せば、ネット社会はこれ以上発展しない。

この女性が亡くなってから、アカウントを削除する投稿者が続出しているという。こういう連中をすべて明るみに出してほしい。書き込んだ人物、そしてテレビ局の責任を徹底的に追及してほしい。

私のサイトにもおかしなコメンターがくる。私みたいな人間にからんでくるのは、大した連中ではない。かわいいものだが、彼らも絶対に実名はさらさない。実名だ、と名乗ることもあるが、大概偽名だ。人を傷つけても、自分は守りたいのだ。正体を知られるのがよほど怖いのだろう。
ほとんどの匿名のコメンターは、匿名だからこそ節度を守り、丁寧なコミュニケーションをとってくれる。そういう敬服に値するコメンターに交じって、どうしようもないのが、時々来るのだ。私がペンネームだからといって、わざわざ本名を書いてくる人もいる。本名はこのサイトにも明記しているので、あほじゃないかと思う。私は実名をさらされても、怖くない。

匿名での誹謗中傷は、人の命を奪うこともある。同時に、安全な立場誹謗中傷することで、自分の精神も傷ついている。どんどん汚い言葉が言えるようになることは、その分、人間性が毀損しているのだということを肝に銘じるべきだ。


2018・19年髙橋遥人、全登板成績

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