藤浪晋太郎が、全体練習に一度ならず遅刻したのは事実だろう。それに対する矢野監督、阪神の対応のどこに問題があったのか。

藤浪晋太郎は、個人事業主であり、プロだ。球団とは対等の関係で契約を結んでいる。保有権は球団にあるが、彼は自ら契約解除を申し出ることもできる。球団と選手は、互いにリスペクトする関係である。スポーツと言う次元で言っても、指導者と選手の関係は対等で、リスペクトしあう関係だ。

もし、選手に瑕疵があって、それを注意したり、ペナルティを与えたりするときにも、彼の人格、プライドに配慮すべきだ。矢野監督は「藤浪は遅刻したから二軍に落とした」とメディアに言ったが、これは藤浪にペナルティを与えた上に、恥辱まで与えたことになる。
多くの人の前で叱責するという行為は、権力者が権力を誇示するために行うものであり、マウンティングだ。

日本人は「ルールを破れば叱られるのは当たり前」であり「人格否定も許される」と考えている。それほどに「ルールを重視している」のかもしれないが、寛大ではないうえに、教育的措置としても問題がある。

藤浪は二軍に落ちるというペナルティを課せられた上に、メディアや周囲の好機の目にさらされる。そんな中で、再起を図らなければならない。
「根性あるんやったら這い上がってこいや!」は、何も考えていない関西人の言い草だが、たかが遅刻で、人格を否定され、仕事まで奪われるとすれば、気の毒極まりない。

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そうでなくても、彼は新型コロナウイルスに罹患して苦労しているのだ。「新型コロナにかかるのは、生活態度が悪いからだ」も無責任な言い草だ。感染症はどんな生活をしていても、誰でも罹患する恐れがあるのだ。

要するに、日本人は「水に落ちた犬」を叩くのが大好きなのだ。詳細な事実を知ることよりも「誰が悪いのか」を決めつけてみんなでいじめるのが好きなのだ。

藤浪の「遅刻=二軍落ち」をいかなる意味でも肯定する人は、日本人独特の「本質とは無関係のつまらない部分」をもっていることを認識すべきだ。


2018・19年髙橋遥人、全登板成績

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