大阪府の吉村知事が、中止となった今夏の甲子園大会と地方大会の代替大会などを甲子園球場で開催できるよう阪神球団に働きかけた。阪神はそれに応じて、8月10日から16日まで甲子園を空けることにしたという。
日本高野連はこれをうけて昨日会議を行った。
しかし、この大会が開催できるかどうかは、かなり微妙だ。

まず、福岡県が地方大会の代替大会の開催を断念した。神奈川県、大阪府なども、学校の授業との調整がつかず、実施できない可能性がある。
また代替の試合も、トーナメントで優勝を決めるところまでやる県もあるが、全校が1試合ずつやっておしまいというところもある。

そういう状況では、予選に相当する大会は不可能で、全国から公平に代表校を選出することは事実上不可能だ。

では一体、甲子園にはどんな学校が出場するのか?

今春の選抜出場校を出すという手がある。32校に選抜大会の代わりに甲子園で野球をしてもらう。それが最も妥当な気もする。
しかし5月20日に夏の甲子園とその地方大会が中止になって以降、選抜出場校も含め、多くの高校の3年生部員は、実質的に引退になっている。中には退部した選手もかなりいる。
彼らにもう一度甲子園で野球ができるところまで、コンディションを持っていくのはかなり厳しいだろう。

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大阪府知事は「近畿大会」を甲子園で実施すればと言っているが、近畿の府県がすべて代表校を選出する様な代替試合を組むことができるわけではない。
また近畿地方の学校だけが甲子園で野球ができることに対する他地方の不公平感もあるだろう。

それに、どんな試合をすることができるのか。

子どもたちは既に「その先」を見ている。甲子園をあきらめようと、必死になっている。彼らに甲子園で野球をさせるのは、確かに温情ではあるだろうが、公式の大会でもないし、勝利に意味があるわけでもない。なまじ「本当だったらもっとこんなことができたのに」と思わせることの方が、切ないような気もするが。
「甲子園で野球をできただけで幸せ」「想い出に残る」という球児の声が聞こえてきそうだが、気休めのような気がする。

東洋経済オンラインでも書いたが「何とか甲子園で野球をさせてやりたい」は、大人の勝手な感傷ではないのか。

「甲子園の全国大会」が中止になった時点で「その代わりになるもの」などないのだ。子どもも大人も諦めるしかないのが実情ではないのか。


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