駅売りの赤いタイトルの夕刊タブロイド紙を買っていたのは、いったいいつの時代だったかと思う。

正反対のスタンスの2紙が、同じようなことを言っている。

日刊ゲンダイ
甲子園交流戦は高野連のアリバイ作り 夏大会できたのでは
夕刊フジ
センバツ代替試合開催で膨らむ疑問「夏の甲子園もできたのでは?」 八田会長「当時はリスク高かった。判断は正しかったと思っている」

もう、具体的に取材する力がなくなっているのだな、と思う。現場の声を少しでも聴いていれば、「夏の甲子園」の開催は無理だということがわかるのだが。

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高体連がインターハイを早々に中止したことを考慮しなくても、夏の甲子園は土台無理だった。

一番大きいのは「学校の問題」だ。3か月に及ぶ休校で、日本の高校は全カリキュラムの2割が未消化のままとなった。この遅れを取り戻すためにも、7月、8月は、夏休みを大幅に短縮して授業をする必要があった。
「どうせ野球部は勉強なんかしてないんだから、休めばいいじゃん」と思うかもしれないが、公立校はそれができないし、私学でも大量の公欠をだせば教育委員会が看過しない。
7,8月に練習、試合をする余地はなかったのだ。

中止が決まってから多くの都道府県で「代替の大会もできない」という声が上がったのはこのためだ。私は福岡だけでなく大阪府、神奈川県、滋賀県も代替試合をやらない方向だという声を、現場の先生から聞いた。
その後、教育委員会と高野連が話し合いをして、時間の調整をしたのだ。高体連の代替試合も、同様の流れで開催することになっている。

しかし高校野球の代替大会は、地方によっては代表を選出しないところもある。トーナメントをするところでも7、8月の土日を中心に組まれている。
8月に甲子園で試合をするためには、遅くとも8月上旬に49代表が決まっている必要があった。しかし現状を考えれば、どう考えても不可能だった。

この実情は、現場の人ならほぼ知っていることだが、日刊ゲンダイや夕刊フジの記者はそれを知らなかったということになる。「本当はできたのに、怠慢でやらなかった」と思わせるような記事は、現場にしてみれば腹立たしいことだろう。


2018・19年髙橋遥人、全登板成績

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