毎年1~2回は台湾に行っていた。今年は無理だろうが。他の外国に比べて台湾は、日本人にとっては心安い。身構えなくてもいいという印象だ。



人種や文化が近いかといえば、韓国あたりに比べればやや遠いようにも思う。食べているものの匂いは、明らかに違う。台湾はウイキョウの匂いが町に充満している。韓国はキムチの匂い、日本はしょうゆの匂いがするようだが、例えばパンの好みや、スイーツの好みは日本とは少し違う。

しかし巷としての安心感、心安さという点では、台湾は格別だ。中国あたりに見られる刺すような視線がほとんどない。実は韓国も行ってみれば人々は温和で、日本人に厳しく迫る人はほとんどいないが、町中に「反日」のスローガンが貼ってあって、日本人は身構えてしまう。
しかし台湾は、そこら中に日本と同じ会社のポスターが貼ってあって、日本と心やすいことが伝わってくる。
台湾が好きなのは「現実をそのまま受け入れる」姿勢だ。私は野球を見るために台湾に行くのだが、台湾の人々は自国を一生懸命応援はするが、敗色濃厚になっても席を立つ人は少ない。そして相手チームに惜しみない拍手を送る。そういう姿勢が、好もしく感じられるのだ。

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台湾は昔からこういう国だったわけではない。原住民が住む南の島に、大陸から漢族がわたってきた。これが「本省人」。そして戦後、大陸で起こった共産党と国民党の内戦で敗れた国民党勢力が、首魁の蒋介石をいただいて台湾にやってきた。これが「外省人」。

戦後の台湾は蒋介石と息子の蒋経国が率いる「国民党政権」だったが、蒋経国の英断で、本省人の李登輝が第4代総統となる(蒋親子の間に外省人の厳家淦が第2代総統になっている)。

李登輝は国民党独裁の政治体制を大きく変えて、民主化にかじを切った。今から思うと、これ、奇跡だと思う。そのうえで3つの異なる歴史を持つ「台湾人」の融和を図り、今の穏やかな台湾を作ったのだ。

新型コロナ禍での完璧な防疫ぶりは世界の称賛の的となったが、大言壮語せず現実的な政策で結果を出すリアリズムは、李登輝の時代に基礎ができたのだろうと思う。

司馬遼太郎さんの著作を通じて知っているだけだが、まさに「国父」のような人だったのだろう。しかも李登輝は個人崇拝を拒絶していた。日本には、今、こういう人はいない。

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2007~2019の打者 vs 2020年の打者/10試合終了時打率比較・セ・リーグ

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