育成上がりの若手が、たった3人の打者に投げただけだが、議論の輪がどんどん広がっている。

原辰徳の采配を批判しているのは今のところ3人か。

堀内恒夫「やっちゃいけない。相手のチームはどう思うだろうか。馬鹿にされてるとは思わないだろうか」
伊原春樹「考えられない。私がベンチにいたら、原監督とケンカをしてでも絶対にやらせなかった」
このおじいさんにも誰かが聞きに行ったようで

廣岡達郎「最後まで最善を尽くす姿を見せない野球は、ファンに対して失礼である。まして阪神に対して失礼である。阪神の選手もベンチもなめられたもんだ、という感情を抱くだろう。巨人のおごりに思える」

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これに対し、肯定しているのは
張本勲「12球団の監督で原にしかできない采配だろう。“今日は負け”と腹をくくっている。かつての三原(脩)さんのようだ」
上原浩治「限られた人数で、どう使うかは監督の判断だと思います。 きちんと投げれる野手をピッチャーに使うのは失礼にはならないと思うんですが… だったら打てばいいだけの話かと」
宮本慎也「チームが優勝するためにって考えるなら、今回の野手の登板は戦術的にも戦略的にも理にかなっている。何でもあり、が許される地位にいる監督なんだから、これからもどんどんいろいろなことをやってほしい」
ダルビッシュ有「最高です。大敗しているときは全然ありです。しかも増田選手、投手の才能あると思います。明日勝つ確率をあげたり、中継ぎ陣の負担を軽くするための戦術ですからねー。原監督がいかにシーズン全体を見ていて、選手の身体を気遣っているのかがよくわかる采配だと思いました」

否定的な3人に共通しているのは「昭和の巨人」を知っているOBだということだ。「巨人の伝統」を盲信しているといっても良い。伊原はパ・リーグ出身で選手としては巨人は1年だけだが、コーチとして4年務めている。
張本は、どっちに転がってもおかしくなかったが、世間の顔色を見てそっちにころがったのだろう。その程度の見識だ。

しかし上原、宮本の世代ははるかに視野が広くなっている。「巨人の伝統」など小さい小さいと思っている。上原は巨人出身だが、巨人の権威主義は鼻持ちならないと思っているようだ。
ダルビッシュは老人たちが異を唱えることを予想して、挑発的な言葉を発したと思う。

今の野球ファンで増田の采配を「けしからん」と思う人は1割もいないだろう。目からうろこの采配であるし、見事に指揮官の期待に応えて無失点に抑えた増田は称賛されている。

今回の論争の最大の功績は「今の野球を全然勉強せずに、既得権益としてモノを言ってお金をもらっている老人がいる」ことを世間に知らしめたことだろう。

もっと論争が巻き起こって、老人と今の野球人が直接対決すれば、さらに面白いのだが。


2007~2019の打者 vs 2020年の打者/10試合終了時打率比較・セ・リーグ

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