阪急宝塚線の終点、宝塚駅で電車を降りると、異様な光景に出くわすことがある。

宝塚音楽学校の制服を着た女子が電車に向かって一斉にお辞儀をするのだ。私は上級生(本科生)が乗っている電車に下級生(予科生)があいさつをしているのだと思っていたが、そうじゃなくて「阪急電車」にお辞儀をしているのだそうだ。
阪急は宝塚の親会社だ。だからJR宝塚駅ではお辞儀はしない。

また電車の中では、予科生は絶対にシートに座らない。まるで神様にかしずくように本科生の目を見つめて、言うことを聞いていたりする。
以下、こまごましたルールがあるようだ

宝塚の駅にはちょっとした緊張感が漂っているが、それは街を歩く宝塚音楽学校の生徒が、あたかも芝居の最中のように背筋を伸ばして歩いていることが大きいだろう。

劇場の前には入り待ちをするファンがたむろしているが、こういう人にとっては劇場に入る前から芝居をしているようなタカラジェンヌを見るのもたまらないのだとは思う。

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ただ、この手のマナーは宝塚歌劇が決めたものではない。こういうことを決めたがる人が、いつの時代にもいて、勝手にこまごましたルールを決めるのだ。強制力はなかったものが、いつの間にか金科玉条のようなものになり「伝統」になっていくのだ。

日本にはこういうのが大好きな人がいる。今年、自粛期間になって普及したZoomでさえも「上司よりの先に入室してはいけない」「退室は上司の後から」みたいなルールを作る人がいる。
実質的な能力がなくて、制度で守られないとステイタスが維持できない人が、こういうのを好んで作るのだろう。

PL学園野球部の寮では、先輩が食事をしている間、後輩は給仕をする。そして何か言われても対応できるように蹲踞の姿勢で待っていたという。こういう変態みたいなルールもできてしまうのだ。

阪急のプロ野球は「宝塚の男版」としてできたのだから、似たような伝統があるのは仕方がなかった。

こうしたルールを宝塚歌劇団は廃止るするという。まともな判断だろう。
朝日新聞
阪急電車への一礼、やめます 宝塚音楽学校が不文律廃止

宝塚はある種、倒錯した世界であり、異様なルールはそれにふさわしいと思わなくもないが、無いほうがいいのは間違いない。


先発全員打点チーム/暫定版

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