全米オープンで大坂なおみが優勝したことと、前の大会での「あわやボイコット」は無関係ではないと思う。
大坂が、黒人差別問題を理由に、いったん試合をボイコットしたことは、日本などの意識レベルの低い国はともかく、世界ではおおむね肯定的に受け止められた。しかし、棄権という決断は各方面に大きな影響を与える。大坂は大きなストレスを感じたはずだ。

しかしその後の世界の反響、アスリート仲間の反応などを見て、大坂は自分の決断が誤りではなかったことを確信した。そして今後も「モノをいうアスリート」として生きていくことを心に誓ったはずだ。

これまでの大坂は抜群の身体能力と運動神経の持ち主ながら、メンタルが不安定で、失敗すれば自らを責めるなど、自分自身を制御できないことが多かった。それが彼女の最大の欠点だと思われた。

しかし今回のボイコット事件を通じて、彼女は「動じない信念」を得たのではないか。決勝でもアザレンカに1セットを先取されながら、焦ることなく盛り返した。格下の相手とは言え、決勝の大舞台で「自分」をしっかりグリップできたことは、大きな進歩だと思う。

彼女は黒人被害者の名前を書いたマスクを着用し続けたが、恐らくはそのマスクが「強さ」の根源になったのではないか。

彼女が愛想をつかすことなく、日本人でいてくれていることに安堵する。

日本ではこの手の問題になると「いろんな考え方がありますが」という言葉を枕詞のように使う人がいるが、要するにそういう人は「人種差別問題」に対して消極的で、アスリートが発言することを快く思っていないのだ。
大坂の発言に対する日本の反応は「いろんな考え方がありますね」に尽きる。ややこしいことに関わりたくない怯懦な姿勢だと思う。

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日本のアスリートの最大の欠点は「政治的発言をしないこと」なのではないかと思う。そもそも、政治を理解する知的レベルに達していない選手も多いし、自分で考える訓練ができていない選手も多い。目上の顔色をうかがう習性が身についた選手も多い。
身体が大きくて、運動ができるだけの木偶の坊が、ほとんどだという印象だ。

トップアスリートには、社会のリーダーとして公的発言をする義務がある。そのことを自覚するときに、アスリートはさらなる進化を遂げるのだと思う。


中日・ナゴヤ球場・ナゴヤドーム・シーズン最多本塁打打者/1950~1988、2007~2019

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